第36回 通訳案内士インタビュー 相沢久美子氏

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Guide Interview 第36回 通訳案内士インタビュー 相沢久美子氏 中国語通訳案内士

「デザインの優れた、日本でしか買えないもの」が好評

Q6.日本でお客様に好評なのはどんなことですか?

中国からいらしたお客様は異口同音に、「日本は空気がきれいで塵ひとつ落ちていない」と日本の清潔さ、環境のよさに感激されます。

また、日本製品に絶対的な信頼を置き、買い物を楽しんでおられます。少し前までは血圧計、シェーバー、炊飯器など電気製品を大量に購入される方が多かったのですが、最近はそうした傾向に変化が見られます。デザインの優れた、日本でしか買えないものに関心が移っているようです。デパートの小物売場や生活雑貨、また個人経営のブティックを回るなどのお客様が増えて来ました。

その一方で、台湾の方はスキーを楽しむ、日本食に舌鼓を打つなど、より体験型、地域に入り込んだ楽しみ方をされているように感じます。北海道、北陸など自然や海産物の豊富な地方を特に好まれるようです。白川郷、高山、立山黒部、金沢などを歩くと台湾や香港の旅行者が本当に多いことを実感します。

中国の方も台湾の方も日本のお漬物がお好きなので、私は『キュウリのキューちゃん』などを持参し、レストランに確認した上で、お食事のときにご飯と一緒に召し上がっていただくこともあります。また、レストランではわさび、唐辛子、ラー油などがあるか確認し、料理によっては多めに用意して下さるよう事前にお願いします。お客様の出身地にもよりますが、概して辛いものを好まれる方が多いです。

 

Q7.尖閣諸島の問題によるお仕事への影響に変化は見られますか?

中国からのお客様が大幅に増えた時期には、はとバスだけでも月間10日以上勤務していましたが、昨秋の尖閣諸島問題が起きてからはとバスの運行数も減り、現在ははとバスでの勤務は月2~3日です。影響はかなり大きいと感じています。

SARS、鳥インフルエンザ、東日本大震災などと比べても、尖閣諸島問題の影響はより深刻です。当面は通訳や講師の仕事が中心になっていますが、私はそれほど悲観的にはとらえず、徐々に好転すると信じています。

今の時期に日本へお越しのお客様はリピーターが多く、政治は政治、経済は経済と考えていらっしゃるようです。

 

Q8.海外のお客様に日本に来ていただくためには、どうしたらよいとお考えですか?

ありのままの日本の姿を見て頂くことだと思います。日本特有の旅館文化などはこれからも大切にしていくべきでしょう。そこに若干の工夫を重ね、ある程度のプライバシーを尊重しながら、おもてなしの心を十分に感じ取って頂けるような配慮を考えていきたいと思います。

世界の大都市はどこも画一化されています。確かに東京や大阪では消費活動を楽しんで頂いたらいいと思います。日本が高度成長期にあった時代は「消費」がひとつの楽しみであり、物にあふれる生活で豊かさを実感していました。今の中国に当時の日本を重ねることができます。ぜひ、経済活性のためにも消費を楽しんでいって頂きたいと思います。

京都にてFITのお客様とご一緒に

しかしその一方で、日本固有のおもてなし文化、風俗習慣、伝統を時代に即した形で受け継ぐ努力が大切だと思います。お客様に日本の地方都市を紹介し、現地の人が通うお店を提案し、土地の人達との直接的な触れ合いを通して、ありのままの日本を感じて頂けるような努力をしたいと思います。ごく一般の観光旅行では味わえないような触れ合いを通して、真の日本、日本人を理解して頂けるよう努力を続けて参ります。

<取材後記>
落ち着いて的確かつ簡潔にインタビューに応じてくださった相沢氏。この日、中国のお客様を1週間案内する仕事を終えて東京に戻り、さらに中国語通訳者養成クラスで教えてきた、と伺い驚きました。いつも努力を怠らず、好きな仕事を続けていることが気力と体力の源になっているのかもしれません。

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