第38回 通訳案内士インタビュー 小林 恵(こばやし けい)氏

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Guide Interview 第38回 通訳案内士インタビュー 小林 恵(こばやし けい)氏 ドイツ語通訳案内士

3年ぶりに団体観光客が戻る

Q5.円安が進んできましたが、ドイツ人を案内する仕事は増えていますか? また、ドイツでは、日本の放射能汚染に対する懸念は薄れているのですか?

震災直後はすべてのツアーがキャンセルされ、その後はビジネスや個人旅行者の訪日は徐々に回復するものの、ドイツ語圏の団体観光客はなかなか戻ってきてはくれませんでした。
けれども、今年の3月ごろから3年ぶりに純粋な団体観光客も少しは見受けられるようになり、観光地でも他のガイドさんとすれ違うように、ようやくなってきました。

放射能に関しては、怖いと思っている人は今でも日本に来ません。ドイツはチェルノブイリの原発事故の影響を受けたので、ドイツ人は一度原発事故が起こると20年、30年という長期間で影響が続くことを知っています。日本を訪れているのは、自分で判断して大丈夫だと考えている人たちです。
現在では、ドイツ国内では、日本の震災や原発に関する報道が減っているそうです。ですから、日本にいらしたお客様から「実際はどうなのか?」という質問を受けることが多いです。

 

Q6.通訳案内士のお仕事をするときに心がけていることや、工夫していることは何ですか?

言葉に関しては、ゆっくり、はっきり、わかりやすく、大きな声で話すことにしています。年配のお客様が多いので、耳が不自由な方もいらっしゃいます。そこで、お客様には最初に「わかりやすくお話しますが、ドイツ語は母国語ではないので、万が一わかりにくければ聞いてください。何度でも繰り返すことは構いません。それよりも、誤解が生まれることの方が残念だからです」といいます。お客様はこれを聞いて安心してくださいます。

ドイツ人は日本に来る前に既にいろいろな国を訪れている方が多いので、説明するときには、ドイツと日本、あるいは他国と日本を比較した話をなるべく多く取り入れるようにしています。
また、聴覚だけではなく、五感を使ったガイディングを目指しています。葉っぱを揉んで触覚や嗅覚を使って楽しんでいただいたり、その土地の名物を味わって味覚に訴えるといった、ガイドブックの知識ではなく、現地でしかできないことを体験できるように努めています。

 

Q7.海外のお客様に日本に来ていただくためには、どうしたらよいとお考えですか?

引き続き、海外での日本のPRに力を入れていただきたいです。外国人が憧れている、伝統的な日本の寺社仏閣や日本庭園、伝統文化など、そして、もう一方では、日本のモダンな側面としてのクール・ジャパンなど両方を収録したプロモーションピデオが有効だと考えます。

また、日本は滞在費の高い国だと思われていますが、実際には千円以下でランチを食べることもできますし、日本人が日常的に神戸牛を食べているわけでもありません。粒のそろったいちごや四角いスイカなど、極端な高級品ばかりが強調されているように感じます。

日本では言葉が通じないと思われていますが、地下鉄にアルファベットと数字を使った表示を取り入れ、路線も色で識別できるようにしたおかげで、東京や大阪などの大都会でも外国のお客様がずいぶんと動きやすくなりました。同様の表示をJR山手線にも取り入れていただけるとありがたいなと思います。

<取材後記>
小林氏は、春の旅行の繁忙期に、お仕事に向かう前の時間を割いてインタビューに応じてくださいました。多忙にもかかわらず、質問にははっきりと穏やかな口調で、わかりやすく論理的に答えてくださいました。長年ドイツ人と関わってきたことで、ドイツ人気質をすっかり身につけられたようです。ドイツ人をきちんと説得し、信頼を得ることのできる通訳案内士さんだと感じました。

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