第50回 通訳案内士インタビュー 池田美智子氏

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第50回 通訳案内士インタビュー 池田美智子氏 英語・ポルトガル語通訳案内士

Q2.これまでで、一番大変だった時期はいつですか? また、どのように大変だったのですか?

宿泊を伴う仕事を続けながら、週2回通訳の学校に通っていた時期には、仕事のための事前準備と学校の宿題や勉強の両方をしなければならず、体力的にも時間的にも一番きつかったと思います。
昼間の仕事を終えた後、夕方6時半からの授業に必死で駆けつけていました。

私には息子が2人いますが、当時、中学生と高校生になっていましたので、お弁当が必要でした。泊りがけの仕事のときにはサンドイッチを数日分冷凍庫に入れて、端から順に持って行かせました。夕食はカレー、シチュー、おでんの3種類をお鍋ごと冷蔵庫に入れておきましたが、いつも同じメニューに飽きてしまった息子たちが遂には自分で料理をするようになりました。息子たちには負担をかけたとは思いますが、兄弟で助け合い、自立することが身についたと思います。

 

Q3.通訳案内士から通訳へと仕事の幅を広げるにあたり、新たに習得しなければならないことは何でしたか?

通訳をするには、話を聞きながら必要なことを最小限メモすること、聞き取った内容を記憶すること、などの技術に加え、豊富な語彙、専門用語の知識などが必要です。

通訳案内士と通訳で大きく違う点は、通訳案内士はポスピタリティやパーソナリティを前面に出して楽しい雰囲気を作りながら日本についての正しい知識を話すのに対し、通訳は中立的な黒子の役割で、自分の意見を出してはいけないことです。

語学力や知識が求められることは通訳案内士と通訳に共通していますが、それぞれの違いに注意して、仕事に応じて切り替えるようにしています。

 

印象に残るブラジル人の明るさ

Q4.VIPに接遇する時に、特に配慮していることはありますか?

礼儀正しさ、控えめできちんとした服装、細かいことへの気配りです。
VIPの方々はお忙しいので、有効に時間を使えるように配慮して、何に時間を使いたいのかというご要望に合わせなければなりません。
ひと言にVIPと言っても、富裕層の方、政府ミッションなどいろいろな方がいらっしゃいます。それぞれ求めているものが違いますが、どなたにも快適な旅をしていただけるよう心がけています。

 

Q5.試合のために来日したスポーツ選手に接するときに、特に配慮していることはありますか?

選手の方々のプライバシーを守ることです。特に有名選手の場合、ガイド自身がプライバシーを侵さないよう注意したうえで、一般の人たちからもプライバシーが守られるよう気を配ります。

試合前後の時期などには、ある程度選手と距離を置くことも心がけています。
試合という目的のために来日している選手に食べ物や習慣の違う土地でストレスをためさせることのないよう、明るく接することを心がけています。

 

Q6.一番印象に残っている仕事のエピソードを教えてください。

ブラジル人の団体のお客様をご案内して、別府から熊本へバスで移動する途中のことでした。阿蘇中岳へ向かう上りカーブで乗っていたバスのギアが突然故障し、動かなくなってしまったのです。山の中なのですぐには代わりのバスが来なかったのですが、ブラジルの方たちは、不平も言わずにバスから降りて安全な場所へ移動してくれました。

代わりのバスを用意するまでの間、ジャンボタクシーでロープウェイの駅までピストン輸送してもらい、お客様は阿蘇中岳の噴火口などを見て過ごしました。
そうするうちに代替バスが来て、幸い旅程はさほど大きな影響を受けずにすみましたが、突然のバスの故障を「ブラジルでもあることだから」、と明るく受けとめてくださったブラジルの方々の明るさ、心の広さ、旅を楽しもうという姿勢に助けられた経験でした。

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