インバウンドコラム

[前編]中国で人気急上昇!! 海外旅行の新しいスタイル「カスタマイズツアー」—世界最大BtoB観光産業展示会・国際会議「ITBChina2019」より

2019.06.17

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JNTOの最新発表によると、2018年の中国人旅行者の65%がFIT(個人旅行)で訪日しました。とはいえ、ひと括りにFITと言っても、その中身は大きく変化してきています。

訪日旅行者の旅行形態としては、「団体」と「FIT(個人旅行)」を区分けするのが一般的ですが、最近の中国では「定制游(私家团)・カスタマイズツアー(プライベイトツアー)」が注目されています。大きなグループで回る団体旅行とは違い、4〜8人の小グループで行動。旅行会社が自分たちのリクエストをもとに行程表を作ってくれ、現地ではプライベートカーで移動。ローカルな通訳ガイドも一緒に回ってくれるというものです。

「走馬観花(浅く広く観光)な団体旅行よりもディープな体験をしたい。とはいえ自分で行程を作ったり、交通情報を調べたりするのは面倒だし、言葉が通じないのも不安」というユーザーのニーズから生まれた、カスタマイズツアー。2016年ごろから登場し、FITの新しいスタイルとして利用者も徐々に拡大し、2018-2019年には中国旅行業界で“もっとも成長が期待できる市場領域”として注目されるまでになっています。

2019年5月15日-17日に世界最大の旅行業界BtoB展示会・国際会議「ITBChina2019」が中国上海で開催されました。今回は3回目の開催となりますが、はじめて「カスタマイズツアー特設展示コーナー]を設置。そして会期中に、こちらも初めての発表された2018-2019年中国旅行市場最新動向業界レポート『ITB China Travel Trends Report(Customized Travel Research Report)』でも「テーマ型観光・カスタマイズツアー」を取り上げています。

この中国の旅行市場動向レポート「ITB China Travel Trends Report」は、リサーチ会社のカイロス・フューチャーの協力を得て、海外旅行を取り扱う中国主要旅行会社300社からヒアリング調査をまとめたレポートとなっています。


「カスタマイズツアー」とは何か

また、中国の大手リサーチ会社iiMedia Researchも2019年の最新レポートで、カスタマイズツアーが急増していることを明らかにしています。iiMedia Research社がこれまで発表してきたレポートでは、カスタマイズツアーはFITに含まれていましたが、2019年からは「団体」「FIT」「カスタマイズツアー」の3つに分類。この分類方法は中国旅行業界で発信される他の旅行関連のレポートでも定着し始めています。

海外旅行をした中国人の旅行形態の割合(2018年)

 

上記の表を見ると、2018年、海外へ出国した中国人旅行者1.4億人のうち、カスタマイズツアーの市場シェアはまだ14.0%ですが、今回のITBChina2019が発表したレポートでは、これから3年間で、市場シェアは25%~35%まで拡大すると予測しています。

その背景には、上海や北京など「一級都市」居住の旅行者が「海外旅行市場」の主力客層であることは相変わらずですが、それに加えて鄭州や昆明などのような「二級都市」と呼ばれる内陸部の都市に住む人々も海外旅行へ出掛けるようになっていることから、中国の海外旅行市場が今後ますます成長していくと見られていることがあります。

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このような中国国内での動きから見ても、今後インバウンド戦略を立てていく際は、いま中国でもっとも急成長している「テーマ型観光市場」(テーマ型観光については、過去のコラムでも取り上げています)に関連させながら、「カスタマイズツアー」で訪日する旅行者へのアプローチもしていくことが、重要になっていくことは 間違いありません。

 

「カスタマイズツアー」を利用する旅行者の特徴と具体例については、後編で解説しています。

 

やまとごころ中国事業について

 

 

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