インバウンドコラム

 vol.4 :外国人旅行者を考えるにあたって、絶対にしてはいけない過ちとは?

2018.04.26

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前回のコラムでは、外国人を一括りにして捉えてはいけないことをお伝えしました。今回はインバウンド初心者に陥りがちなこととして「中国、台湾、香港を中華圏として一括りにしてしまう」ことを中心に、注意すべき点を解説します。

 

中国・香港・台湾について押さえておきたい4つの違い

 中国、台湾、香港の違いを把握するには、これから挙げる4つのポイントを理解することが重要です。

1) パスポートが違う

まず大前提として「パスポートが違う」ことを忘れないでください。中国、台湾、香港それぞれの国・地域で独自のパスポートを発行しているので、彼らが海外旅行をする際に、受け入れる側の国の対応も異なります。つまり、ビザの発給条件が異なるということです。香港と台湾のパスポート所持者が観光目的で訪日する際はビザの取得を免除していますが、中国のパスポート所持者が訪日する際にはビザの取得が必要です。

2) 使用言語が違う

話し言葉に関しては、中国と台湾では北京語が使用されていますが、香港では広東語が使用されています。また、書き言葉においては、中国では簡体字、台湾と香港では繁体字が使用されています。さらに言えば、同じ繁体字を使用する台湾と香港でも表現方法が異なるケースもあります。言語の違いを認識したうえで多言語表記に取り組むのと、知らずに取り組むのでは、その後大きな違いが生じます。使用言語が異なるということもしっかりと念頭に置いておくとよいでしょう。

3)自国で使用する貨幣が違う

中国では「人民元」、香港では「香港ドル」、台湾では「台湾ドル」と、それぞれに独自の貨幣を使用しています。そのため、当然ですが日本円に換金する際のレートも異なります。

4)コミュニケーションツールが違う

近年のインバウンド向けプロモーションを行う際に欠かせないのが、SNS対策です。中国、台湾、香港では、日常的に利用しているSNSの種類も異なります。中国ではWeibo、WeChatなどが主に利用されていますが、台湾ではLINEやFacebookが人気です。香港ではFacebookやWhatsAppが主流となるため、インバウンド集客においてSNSを利用した情報発信や広告掲載を行う際も、それぞれのターゲットに合わせた戦略を打ち出していく必要があります。

特に注意しなければならないのは、「中国国内では、FacebookやLINE、Googleは基本的に使用できない」ことです。これを知らずに、FacebookやLINEを用いて簡体字で情報発信をしても、中国国内に住む中国人にはほとんど届きません。

以上、4つの主な違いについて触れましたが、このほかにも背景にある歴史や文化がそれぞれに異なるため、考え方や価値観、習慣も違います。そのため、中国、台湾、香港によって人々の気質が違うということも、インバウンド対策において忘れてはいけないポイントです。

 

データで見る各国・地域からの訪日客数のインパクト

2017年の訪日客数は全体で2869万人を記録しました。この内訳をみると、中国が735万人、台湾が456万人、香港が223万人となっており、これだけで全体の約半数(49.3%)を占めていることがわかります。これほど多くの割合を占める中国、香港、台湾それぞれを異なる市場として捉え、対応していく必要があります。

特に、台湾と香港の人々は、自身が「台湾人だ」「香港人だ」というアイデンティティを強く持っているため、中国人として捉えられることに良い感情を抱かない人もいることも踏まえておきましょう。日本人が渡航先で別の国の人に間違えられた際に「いや、私は日本人です」と言って切り返すのと同じ感覚を持っているということです。

これだけインパクトがあり、かつ違いのある市場各々のバックグラウンドをしっかりと学び、その特性を認識することが大切です。また、今後は欧米豪からの訪日客も増加すると考えられます。その際にも同じように「欧米人」「ヨーロッパ人」などと一括りにして考えるのではなく、各国の特徴を把握した上で傾向を掴み、戦略を練っていきましょう。

 次回は、同じようにインバウンドに取り組む企業とのネットワークを作る方法をお伝えします。インバウンド分野については、自社1社だけでできることは限られていますが、異業種同業種と連携して一緒に取り組むことで、大きな成果を上げることも可能になります。しっかり読んで実践してみてください!

 

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