インバウンド事例

2018.11.29

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【体験ツアー:ノットワールド】3年連続「エクセレンス認証」を獲得中! 選ばれる「食べ歩きツアー」はどうすごいのか?

事例のポイント

1
インバウンド客は“観光地”だけでなく“非観光地”をも求めている
2
料金は「何を経験できるか」という付加価値で決まる!?
3
ツアーの質を高めるために不可欠な2つのこと
4
「採用」と「教育」でガイドのレベルを担保する

「体験プログラム」や「着地型ツアー」の注目度が高まっている。理由は複数ある。訪日外国人観光客のうち、FITと呼ばれる個人客やリピーターの増加によって、モノからコトへ消費志向が変わってきていること。海外旅行市場が成熟するなかで、よりその地域らしさを感じられるコンテンツが求められるようになってきていること。さらにviator、Get Your Guide、Airbnbなどのオンライン予約サイトが整ってきたことも、この市場を拡大させた大きな要因の一つだ。

そんななか、2014年より小規模グループ・個人向けの「食べ歩きツアー」を実施しているのが、佐々木文人さんが代表取締役社長を務めるノットワールドだ。同社が実施しているJapan Wonder Travelは、口コミサイトのランキング*では常に上位に位置し、トリップアドバイザーのエクセレンス認証を3年連続獲得、viatorやGet Your Guideでもアワードを受賞するなど、インバウンドに人気のコンテンツとなっている。「ツアーの立ち上げ当初の客は月に数人だった」とそうだが、現在は年間1万人以上ものゲストを集客している。では、いかにしてノットワールドは自社ツアーを外国人に選ばれるコンテンツへと育て上げていったのか。佐々木さんに詳しく聞いた。

(※「トリップ・アドバイザー」2018年11月20日現在、関東地方のツアー920件中第4位)

 

インバウンド客は“観光地”だけでなく“非観光地”にも行きたい

「観光地は外国人観光客にとって魅力的なところですが、実はそれと同等か、ときにそれ以上に“行きたい”と思われているのが、観光地化されていない場所だと思っています」

ノットワールドが実施するJapan Wonder Travelのなかで食べ歩きツアーは人気のコンテンツであるが、浅草や築地といった定番の観光地で実施されるツアーと遜色ない人気を持つのが砂町銀座である。ツアーを開始した2015年当初から“砂町銀座”という下町風情があふれるエリアを採用していたのには、もちろん理由がある。佐々木さんは次のように説明する。

「共同経営者である河野もそうなんですが、僕は2013年に妻と二人で世界一周旅行をしました。そのときにローカルなエリアほど面白いということに気付かされたんですね。地元感あふれる市場とか商店ほど、すごく異文化を感じたんです。だから、同じように日本に来た外国人もローカルなところに惹かれるはずだと思って、場所を選定していったら、砂町銀座に行き着いたんです」

その当時、目をつけた商店街は、砂町銀座だけではなかった。ほかに谷中銀座や戸越銀座なども候補になっていたという。ではなぜ砂町銀座を選ぶことになったのだろうか。選定基準は複数あった。

「大きなポイントとしては3つ。美味しい食べ物があること、人が温かいこと、立地的に魅力的なことです。例えば、谷中銀座や戸越銀座、十条銀座、武蔵小山などが候補にあがっていましたが、これらのエリアは駅からのアクセスが悪くないんです。つまり、外国人が勝手に自分で行ける場所であるということ。これだとツアーとしての価値が余りだせません」

外国人が自分で勝手に行ける──それが意味するところは、人気に火が付けば、外国人であふれかえる可能性が高いということ。そして、そうなれば本来の魅力が半減してしまうということだ。ちなみに東京都江東区北砂にある砂町銀座商店街は、最寄り駅の都営新宿線大島駅から歩いて20分近くかかる。

このように佐々木さんが人一倍“ローカルさ”に敏感なのは、自身の体験にも起因している。

「ウユニ塩湖というすごく素敵な場所が南米のボリビアにあるんですが、SNSやメディアで何度も取りあげられた結果、日本人観光客が大挙して訪れるようになりました。僕らが訪れたのが、大学生の卒業旅行期間で、(湖面が鏡のようになる)雨季でもある3月の新月というハイシーズンだったこともありますが、最寄りの小さな村には日本人が300人以上はいて、“ここは日本人の村?”みたいな感じで、やっぱりちょっと興ざめなところがありました」

一方で、砂町銀座だけでなく、ツアー開始当初から外国人観光客にとって観光の定番ともいえる築地もツアー場所として選んでいる。これには別の訳がある。

「もちろんオーソドックなところも押さえておきたいということもありますが、それ以上に市場という場所に対して好きだという感情があること、そして共同経営者である河野に土地勘があったことが大きいです。彼は場外にあるお店で働いた経験があるので、築地の中でも特にローカルさを感じられるスポットを案内できるという利点がありました」

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なお、卸売機能が築地市場から豊洲市場へ移行したことは記憶に新しい。一部には、この豊洲市場について、築地市場が持っていた魅力が減ってしまうのではないかという懸念も持たれているが、築地でツアーを行ってきた佐々木氏はどのように見ているのだろうか。

「まず、我々の築地のツアーの内容については、そこまで大きな影響はありません。というのも築地の場外市場はそのまま残っているからです。築地のツアーは3年という歳月を経て、8割強が場外、残りが場内という時間配分にしていました。その意味で、現状としては値段とツアー時間を微調整するだけで、これまでと変わらずに満足していただけています。もちろん、満足度を維持できているのは、我々のパートナーであるガイドさんたち一人ひとりの努力の賜物でもありますけれど」

ちなみに豊洲については、朝の競りが見られる6時に行くならば見る価値が十分あるが、一方で仲卸市場が見られる観光用通路(2階)などは、ツアー行程に入れ込むほどの魅力はないとのこと。とはいえ、市場見学のルールが変わっていくことは十分ありえるので、「今後も注視していく」という。

 

料金は「何を経験できるか」という付加価値で決まる!?

現在、Japan Wonder Travelの利用客は、半数がアメリカ人、そのほか2割がオーストラリア、英国、カナダであり、7割が英語を母国語とする国からの観光客。そのほかも、欧州やシンガポール、フィリピンといった比較的英語が得意なエリアが目立つという。では、ノットワールドは英語圏の客を狙って集客してきたのだろうか。この点について、佐々木さんは「今来ている国の人たちを狙って集客したかというと、そうでもありません。英語のガイドが多いから、自然と英語圏の客層が多くなっていったというほうが正しいでしょう」と話す。 

では、集客に関しては、どのような考えのもとで行っているのだろうか。
後編で、詳しく紹介していく。

 

 

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