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【訪日客の傾向を知る】イギリス編:ラグビー観戦で大挙訪日、日本は理想の旅行先?

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2019.11.29

ラグビーワールドカップ(RWC)は日本が初のベスト8進出を果たしたこともあって、大きな注目のうちに幕を閉じた。スタジアムはもちろんのこと、パブリックビューイングやスポーツバーなどで熱心な応援を繰り広げる代表チームのジャージ姿の外国人の姿も数多く目にした。観光地でも、キルト姿で歩くスコットランド人やオールブラックスのラガーシャツ姿のニュージーランド人など、ひと目でラグビー応援で来日しているのがわかる人たちも多かった。

RWC出場国からの訪日外国人数は飛躍的伸び率

実際、JNTOが発表した9月と10月の訪日外国人数でも、出場国からの訪日は桁違いに伸びている。たとえば優勝した南アフリカの昨年9〜10月と今年9〜10月の訪日客数の伸び率は実に397.9%、日本と同じプールのアイルランドは446.4%と最も高い伸び率だった。これほど伸び率が高いのは普段の訪日客数が少ないせいでもあるのだが、たとえばJNTOの重点20市場(つまり日頃からコンスタントに訪日している)に入っている、イギリス、フランス、ロシアなども大きく伸ばしている。


イギリスは10月までに昨年の年計超える

ここで特に注目したいのは85.1%の伸び率を示したイギリスだ。イギリスは今回準優勝のイングランドに加え、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド(代表チームとしてはアイルランドと合同)から成るため、なおさら応援者の数は多くなる。2018年のイギリスからの訪日客数は1年で33万4000人だったが、今年は9月と10月だけですでに11万人を超えている。ちなみに1月から10月の累計は35万8800人で、早くも昨年の年計を超えた。

グラフにあるように、イギリス人の外国旅行者数(出国者数)は2009年から2018年の10年間で1300万人ほど増え、2018年は7173万人だった。そのなかで、訪日客は年々増加し、10年間で2倍近くまで増えている。これは、それまで遠くて高い国だった日本が、多様な観光情報などを通して身近に感じられるようになったうえ、イギリスと比べると物価が安いことが知られるようになったことが大きい。

なお、2017年の数字では、イギリス人が最も多く訪れた国はスペインで1877万9466人、2位のフランス(763万1360人)に大きく差をつけている。悪天候の日が多いイギリスでは暖かい国への旅行を好み、特にスペインや地中海沿岸の国々はあらゆる年齢層に人気があるという。


日本はアジアで7番人気

欧米豪市場で最も訪日数の多いイギリスだが、アジアだけに絞ると、2018年のイギリス人の旅行先として最も多いのがタイ(98万4755人)で、中国(60万8000人)、シンガポール(58万8895人)、香港(45万2436人)、インドネシア(39万2112人)、マレーシア(36万1335人)と続き、日本は7番目だ。今年はこの順位に多少の変動がありそうだが、タイの人気は不動だ。それは、前述のように暖かい国であると同時に、イギリス人が欧州以外で観光旅行へ行く際の目的の一番に上がるビーチリゾートがあるからだろう。

一方、日本へ期待することでは日本食を食べることが一番で、自然・景勝地観光、日本の歴史・伝統文化体験が続く。ただし、日本食好きといってもイギリス人はフランス人と比べて生魚が苦手で、食べるとしてもサーモンやマグロぐらいまでという人が多い。また、甘口の日本酒が好まれる。


訪日ビギナー市場

それではここで訪日イギリス人の特徴を簡単に数字から見ていこう。

訪日目的は観光が77%で、ビジネスが16%。2011年には35.7%あったビジネス客が年々減少し、観光客が増えている。
*性別は男性61.8%、女性38.2%で、男女ともに20代が最多で、ついで30代、40代となる。
訪日シーズンのピークはイースター休暇のある3月、4月と10月が3万6000人台でほぼ並ぶ。ただし、海外への出国数のピークは夏季休暇時。
平均滞在日数は13.8泊で、訪日外国人全体の9.0泊より5泊近く長い。
初来日が73.7%、2回目が13.1%、3回目が5.0%。訪日ビギナー市場といえる。
*旅行形態は個別手配(78.4%)と個人旅行向けパッケージ商品利用(14.1%)で、ツアーはわずかに7.5%。
同行者は夫婦・パートナーが35.5%で最も多く、ついで一人旅(31.5%)、家族・親族(17.4%)、友人(15.2%)。
旅行前に役立った情報源としてはトリップアドバイザーなどの口コミサイトが42.3%旅行ガイドブックが36.1%。紙媒体も有効な情報源というのがわかる。このあたり欧州勢の特徴であり、アジア勢がブログやSNSを重視しているのと異なる。
*一人あたりの旅行支出額は22万929円。そのうち10万691円は宿泊費で、20市場で最も宿泊費が多い。
利用した決済方法は現金が96.8%、クレジットカードが59.1%で、モバイル決済は0.2%にすぎない。
*訪日ビギナー市場とはいえ、滞在日数が多いことから、ゴールデンルートに加え、広島県も多く、また長野県、山梨県、奈良県、石川県まではトップ10に入っている。
(いずれも2018年の観光目的の訪日。JNTO:訪日旅行データハンドブック、観光庁:訪日外国人の消費動向調査による)

 

テレビの旅行番組が人気

イギリスで特徴的なことの一つは、テレビの旅行番組を見て、日本行きのインスピレーションを受ける人が多いことだろう。

BBCトラベルなど旅行番組は数多いが、なかでも2016年に3回にわたって放送された「ジョアンナ・ラムリーの日本(Joanna Lumley in Japan)」の人気はすさまじく、いち早くDVD化もされた。

これが人気になったのは人気女優が旅をしたというだけでなく、北は北海道、南は沖縄までのドライブ旅行のなかで、タンチョウヅル、アイヌ、福島の被災地、地下アイドル、カラオケ、祇園、四国のお遍路、長崎、ロボットホテル、桜島など日本を多面的にとりあげたことが功を奏したという。

RWCで訪日したイギリス人に話を聞いたところ「これまでも日本に来たいと思っていたが、大会開催がきっかけになった」という人がいる一方、「ラグビー観戦が目的なので日本のことはあまり知らない」という人も多かった。今回の滞在で日本を知り、口コミでその良さを広めたり、再度訪れてほしいものだ。

理想の旅行先?

JNTOがイギリス人に今後行きたい観光旅行先を訪ねたところ、アメリカ、オーストラリアという英語圏に続き、日本が3番目に入ったという。そんなイギリス人が海外旅行に求めるのは、次の4つ。

*天気が良い
*シティブレイク(都市観光)
*自然のなかでリラックスできる
*ユニークな文化体験ができる

いずれも日本にあてはまるのではないか。加えて、イギリスにはない日本の高い山に感動するという。また、意外なことに、コアなスキーファンはすでにスキーをするために訪日しているそうだ。ヨーロッパのスキーホリデーは料金が高いが、日本は手頃な価格で満足度が高いというのがその理由。いずれにしろ、日本は物価が高いと思われていたのは、今となっては昔のこと。今どきのイギリス人は日本の手頃さにも感動する。

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