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3月の国際観光客数は57%減 UNWTO 回復の3シナリオ解説。最悪のケースは2020年 78%減に

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2020.05.14

UNWTO(国連世界観光機関)によると、新型コロナウイルス感染症の拡大で今年第1四半期の国際観光客数は前年と比べると激減していることがわかった。1-3月では前年同期比22%減、3月だけで57%の減少となっている。これはつまり国際観光客数が前年同期より6700万人減少し、旅行支出は800億ドル(約8兆6000円)減少したことを意味する。

また、今年の国際観光客数については、国境封鎖の解除や旅行制限の緩和などによる観光客の戻りの時期を段階的に見て、UNWTOは3つのシナリオを用意した。それによると、最大で78%の減少となっている。

3月は全世界でマイナス成長

それではまず、今年第1四半期の国際観光客数を見ていこう。前回のデータインバウンドでは、4月20日の時点で世界の217カ国・地域で旅行制限が行われているというUNWTOの報告を掲載した。旅行制限を実施している国・地域の数は1月下旬以降段階的に増えたが、3月11日のWHOのパンデミック宣言以来、増加の一途を辿った。それゆえ、3月の減少率がとりわけ大きくなっている。

1-3月の減少率を地域別で見ると、新型コロナウイルス感染症の影響が最初に出たアジア・太平洋地域が最も減少率が大きく35%減、ついでヨーロッパの19%減、北中南米の15%減、アフリカの12%減、中東11%減となっている。

グラフをご覧いただくとわかるが、ヨーロッパ、アフリカ、中東、北中南米では1、2月はプラスまたは0成長で、アジアだけがマイナスだった。それが3月はすべての地域でマイナスとなり、特にアジア・太平洋の64%減、ヨーロッパの60%減が大きい。

 

旅行需要回復は国内から、海外需要は2021年以降

UNWTOでは、2020年の国際観光客数について3つのシナリオを用意した。これは旅行制限の緩和時期を3つ設定し、4月から12月までの観光客数の変化の可能性を反映したもので、予測ではない。それを踏まえた上でこの3つのシナリオを見ていく。いずれのシナリオでも、2020年12月までは国際観光客数の減少は程度の差はあるが続く。

まず、7月初旬から国境封鎖解除や旅行規制の緩和が始まった場合、年間の国際観光客数は前年比58%減(8億5000万人減)の6億1000万人。9月初旬の場合は前年比70%減(10億200万人減)の4億4000万人。12月初旬の場合は前年比78%減少(11億1400万人減)の3億2000万人となる。

2018年の国際観光客数は14億5400万人でUNWTOの予測より2年早く14億人を超え2019年も14億8000万人と伸びた。過去に2003年のSARSで前年比1.4%減、2009年の世界金融危機で5.4%減はあったが、順調に回復してきている。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の打撃はすごぶる大きい。はたして2019年の水準に戻るのはどれだけかかるのだろうか。

なお、UNWTOの専門委員会の調査では、観光需要の回復開始時期について、国内旅行の回復がまずあり、その後、海外旅行となるとしている。国際観光需要の復活については、今年の第4四半期から2021年以降とする意見が多かった。また、地域別では、北中南米では2021年以降が5割を超えるが、アジア・太平洋とヨーロッパでは6割が年内に回復が始まると見ている。

 

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