データインバウンド

米は国立公園、ドイツは建築物、ゲットユアガイドに見る欧米圏の秋冬旅行トレンド 予算節約の傾向も

2020.10.08

刈部 けい子

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世界各地のツアーやアクティビティを予約できるゲットユアガイドが、欧米における秋冬シーズンの予約データに基づいたトレンドを発表した。昨年との比較が出ており、コロナ禍での旅行スタイルの変化が一目瞭然となっている。

最も注目したい旅先については、年末までは国内あるいは車や鉄道で気軽に行ける近距離の旅行を希望している。特に、アメリカ、ドイツ、スペイン、イタリアの観光客はすべて国内の観光地、フランスとイギリスだけ国境を超えた旅行先が入っている。

欧米でも旅行するなら国内や近距離、アメリカでは自然景観の人気高く

たとえばアメリカの観光客のあいだでは2019年はイタリアがトップ5に3カ所も入る人気だったが、2020年は国内の、それもフィジカルディスタンスを取りやすい国立公園など屋外の人気が高く、ジョージア水族館を除くと4カ所が自然景観の美しい場所となっている。

ドイツの観光客の場合は、ハンブルクの倉庫街と商館街(シュパイヒャーシュタット)や歓楽街(レーパーバーン)、ドレスデンの歌劇場(ゼンパー・オーパー)、ベルリンの国会議事堂など、建築物や商業地区が人気だ。

イタリアの観光客は昨年まで外国人観光客にも人気だったローマのシスティーナ礼拝堂やフィレンツェのウフィツィ美術館、さらにはナポリ近くのポンペイやシチリア島のエトナ火山、サルディーニャ島の北東にある国立公園ラ・マッダレーナ諸島といった自然景観も注目されている。

一方でイギリスとフランスは、システィーナ礼拝堂やアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館(ポーランド)など国外がそれぞれ2カ所と3カ所入っており、比較的危機意識が薄いことが伺われる。

欧州圏旅行者のアクティビティ予算は減少傾向

それでは欧米の旅行者のアクティビティ予算に関してはどうだろうか。昨年と比べると節約する傾向が見てとれる。これは、国内旅行の希望が多い点で比較的費用を押さえられるという点もあるが、やはりコロナ禍の経済的な理由で低価格の商品を意識していると考えられる。

欧州では平均して昨年より25%減少しているが、特に顕著なのはスペインとドイツの旅行者で共に前年同期比31%減で、金額で言うとスペインは86ユーロ(約1万700円)、ドイツは96ユーロ(約1万2000円)となっている。また、フランスは13%減で比較的減少率が少なかった。

逆にアメリカの旅行者は18%増加したのも興味深いが、欧州への渡航制限があるので、比較的割高な国内ツアーやアクティビティへの参加があると思われる。

柔軟なキャンセルポリシーは重要

感染拡大が収まったかと思えば、再拡大するような現状では旅行先や予約のタイミングの判断が難しい。そのため、旅行者が旅行の決断をして実施するまでの期間が昨年と比べると若干短くなっている。たとえばドイツとアメリカでは、昨年と比べると事前予約日数が5日間短かく、イギリスを除く他の国でもわずかながら短縮されている。イギリスでは昨年と変わらない予約のタイミングだった。

予約締め切りをたとえば24時間を切るようなギリギリに設定すると、土壇場で予約を入れたいという旅行者の希望をかなえやすいのではないだろうか。また、これは様々な意識調査結果からわかることなのだが、コロナ禍では柔軟なキャンセルポリシーが旅行者の安心につながることを意識したい。

元となるデータはゲットユアガイドのウェブサイトで予約されたもので、2019年7月〜8月、2020年7月〜8月に購入され、それぞれ2019年9月〜12月、2020年9月〜12月に実施された(予定されている)ものを集計し比較している。

出典:ゲットユアガイド

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