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航空機利用者の8割強が感染対策に安心感、乗客全員のPCR検査にも積極的 —IATA世界の航空利用客への調査

2020.10.19

刈部 けい子

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IATA(国際航空運送協会)は2020年2月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の意識調査を行なっているが、その最新版である8月調査分の結果が出た。これは、近い将来に対する乗客の旅行への考え方を知ることで、航空業界の回復へのガイドラインになればとのことで実施されているものだ。

調査対象は2019年7月以降に旅行をした4700人(オーストラリア、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、インド、日本、シンガポール、UAE、イギリス、アメリカ)で、回答者の旅行形態はビジネスと観光が50%ずつとなっている。

感染不安のトップは公共交通機関の利用

まず、「新型コロナウイルスに感染する不安のある行動」について尋ねたところ、公共交通機関の利用と、劇場やコンサート会場での不安が最も大きいとの回答を得た。バーでの飲酒、会議、スポーツジムもさほど変わらず不安のある行動となっている。

観劇やコンサート、バーや居酒屋での飲酒については世界でも人数制限や客席の配置の工夫、開店時間の制限など様々な規制がされているが、公共交通機関についてはなかなか規制が厳しいのが現状だ。とくに通勤のラッシュ時や、マスク着用が推奨されていても、普段つけることのない欧米豪の場合など、不安も大きいかもしれない。


また、航空機を利用した旅行で不安なことについては、以下の項目が上位にきた。やはりここでも空港までの公共交通機関の利用が最も不安が大きい。また、70%以上が旅行のさまざまな行程に不安を感じている現状で、コロナ禍での旅行が精神的なストレスにつながることを感じさせる。


収束後2カ月での旅行再開希望が半数弱

「感染収束後の旅行再開の見込み」に関する質問については、48%が2カ月以内での旅行を希望している。ただし、2月と4月の回答結果と比べると、6月と同様やや消極的であり、収束に時間がかかっている現状が心理的影響を与えていると思われる。

自衛策はマスクとオンラインチェックイン

最後に、2020年6月1日以降の航空機利用者に新型コロナウイルス感染症の対策について訊ねたところ、86%が「感染対策がきちんと講じられている」と回答し、機内においても86%が「安心を感じた」と答えている。また、自衛策として、「出発から到着までマスクをつける」と答えた人は58%、「空港での他人との接触を最小限にするためオンラインチェックインを利用する」と答えた人が52%いた。さらに、「自ら進んでPCR検査を受ける」が88%、「航空機利用者全員にPCR検査を強制すべき」が84%と、PCR検査に積極的な姿勢が見られた。

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