データインバウンド
2020年の世界の旅行者数は10億人減、136兆円の損失。国際観光の回復は2022年から —UNWTO
2021.02.04
刈部 けい子UNWTO(国連世界観光機関)の最新データによると、2020年の世界の旅行者数は前年の74%減となったことがわかった。世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大による国境閉鎖や旅行規制のため、2019年と比べると各国・地域への入国者・入境数は10億人減少したことになる。国際観光収入は約1兆3000億米ドル(約136兆円)の損失となり、これは2009年の世界金融危機の11倍を超える損失額だ。また、観光業に直接関連する1億から1.2億の職が失われ、その多くが中小規模の企業だった。
UNWTOのポロリカシュヴィリ事務局長は、「安全な国際旅行を可能にするための努力はなされてきたが、いまだ危機は去ってはいないことを認識している。検査、追跡、ワクチン接種証明など、コロナ禍で旅行に関わるリスク削減の調整やデジタル化は、安全な旅行を促進する上で欠かせないものであり、状況が改善された際に備えるための基盤となる」と話した。
昨秋からの第3波の影響で状況悪化
2020年の入国者数の減少で最も打撃を受けたのは、新型コロナウイルス感染症が最初に拡大したアジア・太平洋地域だった。2019年と比べると84%の減少となり、世界平均より10ポイントも多く、入国者数としては3億人の減少となった。2020年10月までの前年同期比は世界平均が72%減、アジア・太平洋が82%減だったので、どちらも年末にかけてさらに悪化したことがわかる。また、欧州は昨夏のホリデー時期にわずかながら持ち直したものの、実数では最も多い5億人の減少となった。いずれも昨秋からの第3波の影響が大きく響いた。
2021年の観光回復は悲観的
UNWTOの専門家委員会の調査では、2021年の展望は複雑だ。回答者のおよそ半分、45%は昨年よりも2021年のほうが改善されると答えたものの、25%はさほど変わらない、30%は2021年のほうが悪くなると答えているからだ。
観光回復の時期については、2020年10月の調査では2022年以降と答えたのは21%だったが、今回の調査ではその割合が50%となり、回復が遅れると考えている人が増えていることがわかった。なお、観光が再開された場合は野外と自然を基本としたアクティビティへの需要が高まり、国内旅行や、時間をかけて1カ所をゆっくりとめぐるスロートラベルへも関心が集まっているという。
以下のグラフをご覧いただくとわかるが、回復開始の時期について各地域を比べると、アジア・太平洋が最も悲観的だった。一方で、欧州では今年の第3四半期、つまり夏のシーズンには回復が始まると予想した人が48%いたのは、昨年同様ホリデー時期への欧州の人々の期待の表れだろう。
さらに、2019年のパンデミック前の水準に戻るのはいつかとの質問には、世界全体では2023年と回答したのが43%で最も多く、2024年と回答した人も41%いた。なお、2024年と回答した人はアジア・太平洋で42%、北中南米は49%と、この2つの地域では平均より悲観的な見通しだった。
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