インタビュー

2008.06.10

JNTOシンガポール観光宣伝事務所長 冨岡秀樹氏②

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Q5.シンガポールの方は日本に対しどんなイメージを持っていて、日本に何を求めにやってくるのでしょうか?(日本の魅力は何でしょうか?)

自然の魅力、食、先進文化、ファッション、ブランドといったものが魅力のようです。ポップカルチャーにも大変興味があり、当地でも日本のアニメや漫画が溢れています。四季の殆どない東南アジアに住む人にとっては、雪や桜、紅葉といった自然の変化は大変貴重なものであり、ツアー広告でも四季の特徴を織り込んだPRがなされています。また、世界各国の人が集まるシンガポールも「食」にはうるさく、その中でも日本食のクオリティの高さ、新鮮な魚介類等、日本の食文化には目がないようです。

シンガポールにはオーチャード通りという世界に名だたるショッピング街がありますが、有名ブランド品でも当地では手に入らないものがあり、日本に行けば買えるといったことが言われています。また、同じ目的の商品一つをとっても、日本では色、形、性能に非常に多くのバリエーションがあって、決めるのに迷ってしまうくらいで、最近では日本はショッピングパラダイスとしても認知されつつあります。

現在は日本がまだ物価高だと信じている人もいるようですが、当地の好調な経済を背景に、当地の外食産業や物価も大変高くなってきており、その反面日本での購買力は上がって、割安感が出ていると思います。当地の物価上昇率は昨年半ばよりうなぎ登りで、直近の4月は対前年比7.5%という数字も出ています。

Q6.シンガポールで流行している「日本」は何でしょうか?(日本料理、マンガ、ファッション、侍等)また、Cool Japan」と呼ばれる日本のサブカルチャーはシンガポールではどのように伝わっているのでしょうか?

日本料理はまさにブームと言ってもよいくらい人気があり、日々日本食レストランの件数が増えています。また、お昼の時間や休日には、日本食レストランに並ぶシンガポール人が目立ちます。海外の日本食レストランというと、駐在員や日系人相手の商売というイメージがありますが、当地では8割から9割方、シンガポール人やその他の外国人が利用しています。日本人であるわれわれが遠慮するほどです。

また、クールな日本文化としてアニメやコスプレも入ってきていますし、漫画喫茶(漫画は中国語になっていましたが。)のようなところもあります。実は、観光地の一つとなっているチャイムズというところにメイドカフェもあります。日本に関していえば、日本の伝統文化や古いものに対する興味より、新しいものや日本の若者がクールだと思うものに興味を示しています。

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Q7.現地の方たちは日本の旅行の際にどのように情報収集を行い、どういった情報を求めていますか?

PCやインターネットは日本と同じくらい普及しており、政府主導で街中のWi-Fiの整備も行き届いているので、カフェでもマクドナルドでもみんな PCを広げてカチャカチャやっています。日本の観光情報もインターネットで収集する人が多いのですが、日本語しかないウェブサイトも多々あり、言葉がネックとなっているとよく聞きます。また、当地には「KIASU」文化と呼ばれる「損をしたくない」症候群があり、旅行に行くとなったらとことんまで調べてから訪日するようです。

当地の新聞や雑誌といった紙媒体でも頻繁に日本の旅行関係の記事が掲載されていますし、15年続いているジャパンアワーという番組では、テレビ東京の旅行番組が英語の字幕つきでそのまま放映されていて、日本に興味のあるシンガポール人は必ずと言ってよいほど見ています。それでも、聞くところによると香港や台湾で広まっているほどの日本に関する情報は十分ではなく、当所に電話や直接来訪し情報収集しています。

旅行の販売形態としては、インターネットが発達しているにも係らず、エージェントで情報収集もかねて対面購入を希望する人が多く、実際のツアーの中身を聞いてから購入するため、当地のエージェントに対するファムトリップや情報提供は非常に効果的であり、重要だと思います。

Q8.現地の方からの日本に対する質問で一番多いものは何ですか?

レールパス等のお得情報でしょうか?桜の季節には、桜の開花情報が一番の関心事です。(行くからには絶対見逃してはならないという意気込みを感じて、引いてしまいます。)

たまにバーゲンセールの情報や美味しいレストランを紹介してほしいといったことも聞かれますが、1回の旅行で結構多くのところを見たいといった希望があり、交通手段をよく聞かれます。日本人でもかなり強硬なスケジュールだと思われるものもありますが、どうやらシンガポール自体が端から端まで車で走っても1時間以内なので、日本の国土の大きさを把握していないのではないかと思われるときが多々あります。

Q9.特に日本のどの地域への旅行者が多い状況でしょうか?また、その理由は何だとお考えですか?

現在日本で人気があるのは、北海道です。雄大な自然景観、雪に対する憧れ、また、一面のお花畑というものに憧れがあるようです。また、北海道の食事、特に海産物やラーメンといったものが非常に美味しいと評判です。シンガポールの街中ではしょっちゅう北海道フェアと銘打って物産展や販売会が開催されていますし、商品のパッケージや暖簾にも「北海道」の文字が多く見られるようになりました。

残念ながら、当地にあった北海道・東北3県事務所が3月を持って閉じてしまいましたが、北海道の根気のよいプロモーションが奏功したものと思います。6月はじめにも北海道が24名のミッションを組んでエージェント向けのセミナーを当地で開催し、情報提供及び直接の商談をしています。洞爺湖サミットももう直ぐですし、当地からも6月に4名の記者を取材に送り出していますので、メディアに取り上げられる機会も当分続くため、今後も北海道人気は暫く続くものと思います。

首都圏、北海道を除くと、京阪神も意外と人気です。やはりショッピング、食べ物が美味しいという評判がよいようです。

日本人が好む歴史のある寺社仏閣等はあまり沢山見せても喜ばれないようです。むしろ、テーマパークや子供たちも一緒に遊べるところがよいと思います。旅館や温泉などにも興味はあるようですが、まだ最後の一歩を踏み出せていない人も多いと思います。これからどんどん背中を押してあげたいと思っています。

Q10.2月29日~3月2日に開催された「NATAS Travel 2008」の様子を教えて頂けますでしょうか?日本ブースの状況はいかがでしたでしょうか?

年2回、春と秋にシンガポール国内最大規模の旅行フェアが開催されています。何度か業界誌などでもお伝えしているのでご存知の方もいるかもしれませんが、旅行フェアでは珍しく、会場全体が旅行の即売会と化してしまい、消費者はその場で旅行の予約をし、商品の購入までしてしまいます。

出展しているエージェントの周りには、列を作って自分の順番が来るのを気長に待つシンガポール人の姿が見られます。日本では旅行エージェントに列を作って旅行商品を購入するなど聞いたことがないという人もいると思いますが、当地ではこのフェアに入場料(大人一人3ドル)を支払ってまで旅行商品を買いにきます。

自分なりにNATASで買い物をするメリットを考えてみたのですが、まず、殆どの旅行エージェントが一堂に会するため、比較検討がし易い、また、 NATAS価格として通常より割引をしたり、購入商品にオーブントースターやDVDプレーヤーのおまけをつけたりと、お得感がある。さらには、NATAS のスポンサーとなっているクレジットカード会社がカードで決済した人にスーツケースや旅行カバンをプレゼントしたりと、同じ買うならNATASで買った方がお得という意識が植え付けられているからだと思います。

最近は、NATAS開催前に大手エージェントがショッピングセンターやコンベンションセンターで自社独自の旅行フェアを開催してNATAS前に旅行を販売してしまう動きが出てきたため、NATASは時期を早めて対応しています。その結果、消費者の購入サイクルが少し狂ってきたように感じています。

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Q11.JNTOシンガポール事務所では、日本をどのような観点で現地の方へアピールしているのですか?

このインタビューにも書きましたが、小生は日本を楽しむ外国人の様子を見るのが大好きですので、驚きは行ってからのお楽しみにしたいと考えています。しかしながら、日本に行って見ないことには驚きも発見もないでしょうから、とりあえず、日本に旅行してみてくださいと言っています。 当所の実施したアンケートでは、まだまだ日本に行ったことのない人が多くいて、その中でも日本に行きたいと思っている人はそれ以上に多く、殆どの人が行ってみたいと思っている中で、その阻害要因となっているのが、未だに残る日本の物価高信仰と言語障壁の存在です。 実際に日本に行ったことのある人は、日本の物価が他国やシンガポールと比べても飛びぬけて高くはないことも分かっていますし、日本で言葉が出来ず困ったという経験も少ないと知っていますが、やはり未体験者にそれを理解してもらうのは至難の技です。ですから、当地ではこれらの阻害要因をなくすため、日本の物価や言語障壁について正しい知識を持ってもらいたいという思いをこめて、独自にチラシなどを作ってPRをしています。

(Part 3へ続く)

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