インタビュー

2008.10.10

実践!インバウンド 代表 小野秀一郎氏②

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Q3. 昨年からの訪日外国人旅行者数の減少による影響はございますか?

ネットで宿泊予約をする外国人市場も価格帯・施設タイプ別にいくつかに分かれます。この厳しい不況でも低価格帯にあり且つ外客のニーズに応えている施設は予約の落ち込みは軽微です。また館内でネットが利用できる素泊まり旅館や、海外の友人と情報交換のできる雰囲気を上手に作り出しているドミトリー系(相部屋を持つ)ゲストハウスを多く持つ海外予約サイトは、前年同月比135%と予約件数が伸び続けています。厳しいのは ブランド力だけに頼ってきたシティホテルや差別化の出来ていないビジネスホテルではないでしょうか?弊社クライアント宿泊施設への需要は、トータルとしてはやはりある程度落ち込みましたが、またここ最近回復してきたように思います。特に7,8月は夏休みの時期で年間の中でも訪日外国人旅行者がとても多い時期にあたりますので、ここでまた数を取り戻してくると思います。

昨年冬に急激な円高・景気悪化が起きた後に訪日旅行者数が落ち込んでからは対策として各旅館様に料金の調整をするようにお伝えしました。旅行者の財布の紐も固くなりますので、少し値段を下げることで利用しやすくするとともに、「客数を減らさない」ことに注力をするようアドバイスをしております。この時期に来てくれたお客様に対して、より丁寧な対応をすることは非常に重要であると思います。というのは、料金が高い時期にも関わらず日本に来てくれるということは、日本がよっぽど好きな人や、どうしても日本に来たいと思っていた人であり、日本に非常に好感を抱いています。こういった人たちによい印象を残すことで、口コミが広がり、後にたくさんのお客様を連れてきてくれることにつながります。また、料金が高い時期に来ているということは、支払った金額に対する評価もシビアです。そのため、こういうときこそより丁寧な接客を心がけ、お客様が満足して帰ってもらえるようなサービスを提供するべきだと思います。 外国人客数が減ったからといって悲観するのではなく、今来てくださっているお客様を大事にすることで、景気が回復したときにまた多くのお客様が来るようになると信じています。

 

Q4. まだ外国人集客に取り組んでいないホテル・旅館様の抱えている問題と弊社のそれらへの対策は何でしょうか?

まだ外国人集客に取り組めていないホテル・旅館様には、大きく以下の3つの壁があると思います。実は弊社ではそれらの壁を取り除くべく支援をしているといえるかもしれません。

外国語
これは意識の壁で、自ら作ってしまっているものですね。外国語で話しかけられた場合、どう対応すればよいかを不安に思っている方が多くいらっしゃいます。しかし実際、片言の英語で対応しているような旅館様も多くいらっしゃいます。スキルがなくてもその程度の対応なら誰でも可能なわけです。現に弊社クライアント60%は片言の英語、または日本語のみで外国人に対応して頂いています。また簡単に外国人対応を円滑にする道具・ノウハウも提供させて頂いております。地方の旅館に期待しているのは、ペラペラの語学力ではなく日本的なおもてなしなのですから、都市部のシティホテルと同じことをしようとするのがそもそもの間違いなのです。

ITスキル
これは使い慣れているかどうかの問題で、取引先の旅館経営者の全てがパソコンを使いこなせるわけではありませんので、現在でもFAXを使って予約を受け付けている旅館様もあります。パソコンを触ったことがある人であれば、インターネット予約の管理等は難しいものではありません、と旅館・民宿の経営者にお伝えしています。

海外のモノやコトに対する経験不足
ネットを活用し個人で自由に海外旅行をする外国人が急増する一方で、いまだに外国人旅行者に対する偏見や理解不足がある場合があります。「外国人は背が高いのでウチの和室にはムリ」「インバウンドは素泊まりだけで、価格が安いはずだ」「インバウンドは東アジアだけだろう」「風呂の使い方が分からないはずだ」「クレジットカードだけしか持っていないだろう」などと、自社で取組みを真剣にやってもいないのに、周囲に吹き込まれた通りの概念のみ持ってしまっているケースがほとんどです。弊社ではインバウンドに少しでも興味があれば、上記のような誤った概念や知識を取り除くべく、全国220軒以上の旅館・ホテルの取組み事例を参考にお話をさせていただいております。

インバウンドへの取り組みを始めるのであれば、最初から構えて完璧にやろうとするのではなく全力でやってもらえればと思います。お客様の対応も言葉ではなく表情や体を使った表現で十分伝わります。なぜかというと、お客さんである外国人の方も理解しようとするからです。また、ユニークな経験は、ユニークな結果を生みます。つまり、みんなと同じことをするのではなく、新しいことに挑戦することで、新しい気づきとともに今までになかった結果がついてくると思います。インバウンドに本気で取り組みたいと思うホテル・旅館様を今後も引き続き応援したいと思います。

 

Q5. 小野氏の考えるインバウンドのあるべき姿とは何でしょうか?

顧客満足度をもっと上げていくべきだと思います。欠けているところの穴埋めばかりを考えていて、お客様の本当の満足についてまだ深く突き詰められていないと思います。

観光地化させるのが私の目的ではなく、いかにその土地の魅力を引き出すか、それが外国人にとっても新鮮なものに見えるでしょう。例えば、ニセコが一つの例ですが、オーストラリア人に人気のスポットとして有名になりましたが、個人的な印象としてはハード面でのリゾート加工作業が行き過ぎて、日本なのにどこを見ても英語表記、店員も日本人ではなく外国人スタッフがメインの飲食施設もある、といったように、日本本来の姿がかき消されてしまいます。長野県・志賀高原の弊社取引先でいくつかのホテルからは、「せっかく日本に来たのにオージーが多すぎて、ニセコを避けた」というオーストラリア人客もいたという話を度々耳にしています。(笑)結局旅行者が離れていってしまっては意味がないのです。

外国語対応はもちろん必要だと思いますが、全てが完璧に整った環境になってしまうと、逆にそれは日本としての魅力を損ねてしまうものになりかねません。私はこれを観光地の「ハワイ化現象」と呼んでいます。どこに行っても日本人ばかりだと、普通に気持ちが引いてしまいますよね。(笑)それと同じことなんです。また地元経済・住民が活性化しなくてはならない。もっと日本らしさを活用し、その魅力を発信するべきだと思います。

また、今後インターネットを利用した海外市場への直接的な情報発信はやはり必要だと考えます。旅行者が旅行の予約に至るまでのアクションは、①「旅行情報の収集」②「計画を立てる」③「予約をする」という3段階に分けられると思います。③の「予約をする」アクションはまだ旅行代理店などに赴き予約する層も存在し続けますがネットで予約をも完結させる割合が今後も増加するでしょう。①②においては大半の方がインターネットを利用すると思います。そう考えるとやはりインターネットを使ってもっと多くの情報を発信していくべきだと思います。

(Part 3へ続く)

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