インタビュー

2011.03.26

森ビル株式会社 ヴィーナスフォート運営室 館長・石川哲史氏

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お台場に位置するヴィーナスフォートは、森ビルが初めて管理・運営全般を直接手掛けた商業施設です。日本の若い女性をターゲットにオープンしましたが、近年、外国人対応にも積極的に取り組んでいます。
森ビル的商業施設運営についてインバウンドにスポットをあててお話を伺いました。

目次:
ヴィーナスフォートの概要
インバウンドを意識するようになった契機
インバウンドのための具体的な施策
今後の展開について

ヴィーナスフォートの概要をお聞かせください。

ヴィーナスフォートは、20代後半から30代の独身女性をターゲットにしたテーマパーク型ショッピングモールとして1999年にオープンしました。これは、2003年の六本木ヒルズのオープンを視野に入れた実験的な試みでもありました。ショッピングモールというもの、そしてショッピングエリアではない地域に出店するという挑戦で、それはまさにゼロからの集客を目指すテストケースだったのです。


ヴィーナスフォート内の教会の夕景の場面

設計は、当時、坪効率が世界最大のラスベガスのフォーラムショップスをデザインしたドゴール氏に依頼しました。
また、ファイナルファンタジーを編み出したスクウェアの宮本雅史氏のアイディアも取り入れ、館内をロールプレイング型ショッピングモールとしてお客様に仮想空間を楽しんでいただくしくみになっています。

ヴィーナスフォートでは17~18世紀にかけての北イタリアおよび南フランスの町並みを表現しています。この時代のヨーロッパを表現することで物を作る職人が一番尊敬されていた時代を記憶に留めておこうとしているのです。

 

ヴィーナスフォートがインバウンドを意識するようになった契機は何ですか?

オープン当初はインバウンドを視野に入れていなかったにもかかわらず、お客様の5%近くは台湾、香港などからの外国人でした。中国、台湾からのメディアの取材もあり、大々的に特集も組んでいただけました。
儒教の影響が強く男尊女卑が根強い韓国では、ヴィーナスフォートが「女性」のための施設であることが高い関心を集めたのです。

 

2001年にバーバリーブルーレーベルに当時の日本最大級の面積で出店いただきました。これに対して韓国、台湾のお客様から素早い反応があり、ピークとなった2005年にはバーバリーの年商は7億円近くに達し、春節には1日の売り上げの70%が中国人のお客様による免税売り上げとなりました。

 

 

インバウンドのために具体的にどのような施策をなさっているのですか?


フロアーマップは言語ごとに制作

①銀聯カード
銀聯カードの日本上陸は2005年でした。この時点でヴィーナスフォートはすでに中国人のお客様を視野に入れていたため早々に銀聯カードを導入しましたが、実際には全店舗の25%が導入しただけで、売り上げは1%前後の伸びにとどまりました。
しかし、2009年にアウトレットを導入した際インバウンドへの対応を見直し、全店で銀聯カードを導入し売り上げを伸ばしました。

②外国語サービススタッフ
バーバリーに来られたお客様に、他の商品もお買い上げいただくために、館内を回遊しやすい外国語フロアガイドやHPを作成しました。また、館内サービススタッフに中国語や韓国語に堪能な日本人がいたので、そうしたスタッフを中心に外国人対応を始めました。

本格的に外国人対応の態勢を取ったのは2006年からです。お客様に館内で同郷の人に声をかけてもらう安心感を味わっていただくために、現地出身者を外国語サービススタッフとして採用しました。以来ずっと外国人スタッフを採用しています。

現在、英語、韓国語、中国語のスタッフを常時各言語2名配置し、春節には中国語スタッフを増員しています。お客様にリラックスしてショッピングモールを楽しんでいただくための接客サービスを行うという点で、外国語サービススタッフは買物時のみに機能する通訳と異なります。サービスの立ち上げ当初、スタッフは店舗専有以外の共有スペースに限って配置されていましたが、銀聯カードの全館導入と同時に店舗内に入って積極的にサービスを行うようになりました。

③インバウンド対応のリニューアル
アジアからのお客様は40歳代の方が多いので、20歳代の日本人のお客様向けの商材とのずれを感じました。そこで、昨年リニューアルを行い、外国人にも人気がある化粧品のセレクトショップや家電量販店のラオックス、ハローキティ・ショップにも出店いただきました。

今後の展開についてお聞かせください。


六本木ヒルズ内のショップ

ヴィーナスフォートで先行してきたインバウンドを森ビルの共通理念として横串を入れてゆきたいと考えています。森ビルのインバウンドのスタンダードレベルをしっかりと作り、インバウンドが多様化するなかで外国人のお客様に森ビルのラインアップを知っていただきたいと思います。

現在では、ヴィーナスフォート、六本木ヒルズ、表参道ヒルズでインバウンドに関する情報を共有し、さらなる向上を目指しています。各施設の独自にもインバウンドの施策を進めており、六本木ヒルズでは、春節に向け、中国人向け特設クーポンページを開設しました。「Baidu」で「東京」・「六本木」などと検索するとページ上段、下段のPR欄に表示されるよう設定してあります。

【クーポンサイト】
http://www.roppongihills.com/cp/baidu/

 

さらに、エリアごとの施策が必要と感じています。それは、単体の施設で集客できるほど簡単ではないので他社との連携も図り、エリア全体で取り組んでゆこうと思います。お台場ではメガウェブ、アクアシティ、デックス、そして車で15分ほどの羽田空港との相乗効果が期待できると考えています。

 

 


表参道ヒルズの外観
 
また表参道ヒルズでは、商店街振興組合の欅会との連携などのように、地域とともにインバウンドを盛り上げていければと考えています。

  森ビル株式会社
  http://www.mori.co.jp/
  ヴィーナスフォート
  http://www.venusfort.co.jp/
  六本木ヒルズ
  http://www.roppongihills.com/
  表参道ヒルズ
  http://www.omotesandohills.com/index.php

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