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災害時の訪日客に対する情報提供 多重化とハブ化が改善の鍵に

近畿運輸局では、2018年6月の大阪府北部地震、9月の台風21号の災害発生時に、鉄道の運休や関西国際空港の一時閉鎖などの情報が訪日客に十分に伝わらなかった事態を受け、外国人の有識者を含む検討会を立ち上げて検証を進めてきた。その中で、情報提供側である自治体と鉄道事業者、宿泊事業者に災害発生時の避難誘導マニュアルの活用実態をヒアリング調査すると同時に、情報の受け手側である訪日客にもヒアリング調査を行なった。訪日客への調査は2018年12月19、20日に関西空港から出国する個人旅行客を対象に、日本で地震が発生した際に、どのように情報を収集するかなどを面談形式で聞き取り調査を実施。中国、韓国、台湾、香港、欧州、米国などの301人が回答した。

その結果、観光時に災害発生した場合、最初にとる情報収集手段を尋ねたところ(複数回答)、「SNSを見る」が50.8%で最も多く、次いで「テレビを見る」が36.2%、「アナウンスを聞く」が34.2%だった。SNSの種類は、 「Facebook」が 64.7%と最も多く、次いで「Instagram」が 20.9%、 「WeChat」が 13.7%だった。

また、交通移動時に災害発生したときの最初の情報収集手段については「アナウンスを聞く」が50.5%と最も多く、次いで「SNSを見る」が 40.2%、「近くに居る人に聞く」が 36.5%だった。

発災直後の観光時に交通情報の収集のために期待する情報提供手段については「多言語での音声放送」が 73.1%と最も多く、次いで「多言語での案内表示」が36.2%、「アプリによる多言語での案内」が30.6%であった

日本語の理解度については全体の約6割の人が「ほとんどわからない」と回答している一方、英語は96%以上の人が「理解できる」と回答があった。ただ、中国では英語もほとんどわからないと回答する人が約14%いた。

日本政府観光局の英語のホームページや24時間対応のコールセンター、観光庁監修で開発された5言語対応の災害時情報提供アプリなどのインバウンド向け「役立つツール」の利用意向については、全体の約7〜8割が使いたいと回答した。

これらの調査結果を踏まえ、近畿運輸局では訪日客のニーズが高い多言語の案内放送はもちろんのこと、国や地域によって好まれるツールが違うため、SNSや公的機関のホームページ、スマートフォンアプリなど、多種多様なツールを活用する「多重化」と、情報を一元的にまとめる「ハブ化」が改善の鍵であるとして、今後も官民が連携して外国人旅行者の視点に立った対策を講じていくことを提言している。

(やまとごころ編集部)

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