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市民生活と調和した観光都市実現に向け、京都でAIを活用した新たな取組がスタート

2019.09.27

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オーバーツリーズムが課題となっている京都市が、秋の観光シーズンを前に新たに取り組む観光施策を発表した。5月に「市民生活と調和した持続可能な観光都市」推進プロジェクトチームを庁内に設置し、施策の検討を進めてきた。そこで緊急な対応が必要となっている「観光地の混雑対策」、「市バスの混雑対策」、「観光客のマナー対策」について今秋から具体的な対策を講じる。

1つ目の観光地混雑対策では観光快適度の見える化によって、観光客の分散化を推進する。具体的には、スマートフォンの位置情報、天気、曜日、時間などのビックデータをもとに、AI(人工知能)を活用し、京都市内で快適に観光できる度合(観光快適度)を予測し、「京都観光Navi」サイトにおいて、5段階で表示する。京都市全体の観光快適度は9月18日からスタートしており、6カ月先までの観光快適度を見ることができる。予測結果は定期的に更新され、時期が近づくにつれて精度が向上する。紅葉シーズンを迎える10月31日からは祗園・清水、嵯峨・嵐山、伏見の3つのエリア別の観光快適度も表示する。

2つ目の市バスの混雑対策では、10月1日からJR西日本及び京阪電車と連携した訪日外国人向け企画乗車券を発売する。JR西日本が発売している訪日外国人向けのフリー乗車券「関西エリアパス」に、新たに地下鉄及び京阪電車の一日券を組み込んで発売する。利用できる交通機関が広がることで市バスの混雑緩和を図る。

3つ目の観光客のマナー対策では、まず旅行業界全体に対して、京都市長、京都市観光協会会長及び京都商工会議所会頭の連名により協力要請を行う。対象となる加盟事業者は日本旅行業協会(JATA)の約2200社、全国旅行業協会(ANTA)の約5500社、中国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会の約340社。京都での宿泊客数が多い国の大使館や海外メディアにも協力要請を随時行っていく。

次に、日本語・英語・中国語併記のマナー啓発ステッカーを作成、10月中旬から市内の宿泊施設や飲食店に配布する。ゴミのポイ捨て禁止、撮影禁止、飲食禁止等10種類程度の項目について、ピクトグラムを活用して紹介している。京都市観光協会HPからダウンロードすることができ、希望者には個別に配布も可能。併せて、市長自ら出演するマナー啓発の動画も作成した。9月下旬から関西国際空港をはじめ、観光案内所、ギオンコーナー等で上映する。

門川大作京都市長は9月20日に開催された「京都x渋谷持続可能なまちづくり」に登壇した際、「千年以上の歴史を有する京都の街は観光のために出来たものではない。市民の暮らしと文化が大切である」と発言している。市民生活と調和した持続可能な観光都市の実現に向けて具体策が今後も期待される。

(やまとごころ編集部)

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