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ワーケーションに関する市場調査 地域の観光需要や交流人口増への期待高まる一方多くの課題も

2020.09.08

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株式会社日本旅行は、国内最大級のワーケーションプラットフォームを持つ株式会社We’ll-Being JAPANと株式会社あしたのチームとの3社共同で、観光地やリゾート地での休暇中や旅行中に、仕事や会議を行う「ワーケーション」に関する考え方及び姿勢等の調査を行った。

この調査は、テレワーク導入企業の会社員332名、経営者323名、またワーケーションについて認知している東京・大阪を除く全国の自治体職員330名、それぞれを対象にインターネットで8月13-18日に実施したもの。

前向きな期待を寄せる会社員6割も導入への期待は薄く

まず会社員を対象とした調査からは、ワーケーション制度に興味を持っている会社員が約6割と前向きな期待を寄せていることが明らかとなった。ワーケーション制度への期待として「リフレッシュすることで生産性が向上する」が、47.3%と回答理由の約半数を占め、その他、「家族との時間やプライベートな時間の確保がしやすくなる」「旅行などに行きやすくなる」などの声があった。一方で、実際に自社で導入が期待できるかについては、約7割が「期待できない」と回答。理由として「労務管理がしにくい」や「セキュリティの担保が難しい」など、制度や管理面への不安が大きいようだ。

経営者の半数以上が興味、一方で適切な評価方法などに課題

また経営者を対象とした調査からは、半数近くの経営者が既にワーケーションを実践したことがあることが明らかになった。ワーケーションを「自社に取り入れたい」と興味を示した経営者も50.4%存在し、導入のメリットとしては「家族との時間やプライベートな時間の確保がしやすくなる」が58.3%と最も高く、次いで「リフレッシュ効果で生産性向上が期待できる」「長期休暇が取りやすくなる」などが挙げられている。一方で、導入への課題としては「休暇中の仕事の適切な評価が難しい」が71.4%で最多となり、他にも「評価が一致するか」「従業員への負担とそれに対する対価評価」など、評価制度に関する課題の声が多い。

自観光需要や交流人口へ期待を寄せる自治体、環境整備に難しさ

自治体職員への調査からは、回答者の約3割が民間企業のワーケーション制度導入に対し地元活性化の起爆剤として期待を寄せていることが明らかになった。「観光需要を喚起できる」や「新規交流人口が見込まれ、定住につながる可能性があるため」などが理由として挙げられているが、ワーケーション制度の受け入れや呼び込みに対して不安や課題を感じるとの回答も約4割と多く、うち約7割が「ワーケーションに対応した環境の整備が難しい」を理由として挙げている。

テレワークの一般化に伴い、新たな働き方として期待を寄せられている「ワーケーション」が普及するためには、労務管理など制度面の整備、企業内での「評価制度」の見直しや自治体内での制度の整備や呼び込み施策の策定などが必要となる。

(やまとごころ編集部)

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