インバウンドニュース
「縄文」世界遺産候補の北海道・北東北の縄文遺跡群 イコモスによる現地調査開始
2020.09.10
北海道・青森・秋田・岩手の17遺跡で構成する「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産にふさわしいかどうかを評価するユネスコの諮問機関イコモスによる現地調査が、9月4-15日の日程で実施されている。この調査は、イコモスの専門家が各地を訪れ、遺跡の状況や管理方法、歴史的な価値などについて県の担当者や地元関係者の説明を聞きながら遺跡全体を入念に視察するもの。
北海道・北東北の縄文遺跡群は「縄文」をテーマにしたもので、北海道の垣ノ島遺跡、北黄金貝塚、大船遺跡、入江貝塚、高砂貝塚、キウス周堤墓群、青森県からは大平山元遺跡、田小屋野貝塚、三内丸山遺跡、二ツ森貝塚、小牧野遺跡、大森勝山遺跡、亀ヶ岡石器時代遺跡、是川石器時代遺跡、岩手県の御所野遺跡、秋田県の伊勢堂岱遺跡、大湯環状列石の計17遺跡で構成されている。
2009年ユネスコによってこの遺跡群が世界遺産暫定一覧表に記載されてから9年を経て、2018年文化審議会において国内の世界文化遺産推薦候補に選定されるも、2020年の世界遺産登録候補としては、鹿児島と沖縄両県の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が推薦されることとなる。同年に世界文化遺産登録を目指していた「北海道・北東北の縄文遺跡群」の推薦は、翌年度以降に見送られ、2021年の登録候補として、2019年12月に正式に推薦が決定した。
17の遺跡が北東アジアにおいて長期間継続した採集・漁労・狩猟による定住の開始、発展、成熟の過程など農耕以前における人類の生活の在り方と、精緻で複雑な精神文化を顕著に示す物証として申請を行っており、今回の調査は「縄文」を人類の宝として認めるか、という判断に直結するものとなる。審査を公平・中立に進めるため、報道・取材規制のもと、厳格なルールに基づく調査だ。
イコモスの勧告は、ユネスコでの審議に大きな影響力を持つため、青森県などでは、昨年から2度のリハーサルを行うなど、入念な準備を進めてきた。
例年通りの日程では、2021年5月頃、イコモスがユネスコの世界遺産委員会に評価を勧告し、2021年6-7月頃、ユネスコ世界遺産委員会における審議・決議で世界遺産登録されるかどうかが決まる見通しだが、新型コロナウイルスの影響で、2020年の世界遺産委員会が延期となっていることから、縄文遺跡群の審査への影響が懸念されている。
(やまとごころ編集部)
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