インバウンドニュース
飲食店の空きスペースとテレワーク環境を探す人をマッチング、神戸市が実証実験スタート。多様な働き方をサポート
2021.02.12
コロナ禍での就業形態については企業側も労働者側も試行錯誤を続けるなか、神戸市が新しい試みを始めた。空きスペースを持つ飲食店と、テレワーク環境を探す人をマッチングさせる実証事業、「KOBE Work Space Share」だ。
神戸市が株式会社スペースマーケットと連携し、あらゆるスペースを簡単に貸し借りできるWebプラットフォーム「スペースマーケット」を活用して実施する。
新型コロナウイルス感染拡大で、現在10都府県に二度目の緊急事態宣言が出ているが、全国的な自粛で外食する人が大幅に減り、飲食店は大きな影響を受けている。一方、就労者には職場での3密回避やテレワークの推進など仕事環境整備が求められている。
今回の取り組みで、飲食店は空きスペースの利用料やそれに伴う飲食代、新規・固定客の確保による売上減少分の一部の補てんが、就労者は職場や自宅だけでなく飲食店での仕事が可能となり、3密回避やテレワーク推進の支援につながるといった効果が期待できる。
自治体がスペースシェア事業者と連携して、飲食店支援を行うのは全国初の試みだ。実施期間は事業連携協定を締結した2月4日から3月31日までの約2カ月間を予定。対象は、インターネットなど環境が整っている中小企業基本法第2条に規定する中小飲食店となっている。
活用モデルとしては次の2種類を想定している。
1) 時間帯で営業形態を分ける
小規模飲食店などを想定し、飲食店はランチタイムは通常営業、ディナータイムは20時までの時短営業を続けながら、午前と夕方の利用者の少ない時間帯はワークスペースとして貸し出す。
2) スペースで営業形態を分ける
中規模飲食店など、面積が広く座席数の多い店舗、あるいは個室がある店舗を想定し、飲食店として基本的には飲食を提供し、一部をワークスペースとして提供する。
いずれも利用者へは、飲食の持ち込みは「水・お茶」のみ、1人での利用、感染症対策の徹底などのルール厳守を求める。
サービス利用料は「一律 1席100円/1時間」で、飲食店にはサービス手数料(テレワーク用スペースのサービス利用手数料の30%)の半額分を神戸市とスペースマーケットが半分ずつ助成する。実証事業を通じて、経済活動の維持や働き方のバリエーション向上の一助になるかの検証を行っていく。
飲食店のワークスペースは、観光庁が普及を目指す「新たな旅のスタイル」の一形態であるワーケーションやブレジャーにおいても利用が期待できる。いずれも仕事と休暇、余暇を合わせた造語だが、前者は休暇中に仕事、後者は出張中に休みを取るという点で違いがある。イギリス誌『エコノミスト(The Economist)』の調査部門が発表した「ブレジャー バロメーター 2019」によると、オーストラリアを含むアジア圏で、ブレジャーの目的地として東京がトップ、大阪が8位という評価を得ている。2位以下には、シンガポール、シドニー、香港と海辺の魅力的な街が続く。港町神戸の街なかに、気軽に仕事ができる場所が増えれば、リモートワークに加え、ワーケーションやブレジャーなど、多様な働き方への支援策として活用できるかもしれない。
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