インバウンドニュース
観光庁、コロナ収束後のMICEのあり方を調査、DXや人材育成など今後の方向性を提示
2021.08.26
観光庁は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代における新しい国際水準に適したMICEのあり方と国際的な競争力を強化するための調査を実施し、報告書を公表している。このほど、利用者がより簡便に報告書の内容を把握できるよう、概要とエグゼクティブサマリーを公開した。
日本がコロナ前から抱えるMICEにおける課題
従来からの課題として「競争激化に伴う更なる国際競争力強化の必要性」「技術革新の必要性」「持続可能な観光へのシフト」が挙げられる。2018年には、日本の国際会議開催件数は505件で世界順位7位だったが、2019年には527件と回数こそ増えているものの、8位に転落しており、競争力の強化が求められる。社会全体のDX加速化に対応した技術革新の必要性や、SDGsなどに基づいた観光へのシフトも課題とされた。
感染症の世界的拡大がもたらした社会経済環境の変化
加えて、コロナ禍における社会経済環境の変化として、国際間・地域間の移動制限、「三密」回避対策など、感染症対策の必要性と、非接触のサービスやツールの利用拡大、そしてFace to Faceで行うコミュニケーションの相対的価値の増大が挙げられている。
国際会議のあり方を規定する各要素の変化、対応への課題
これらを踏まえ、ヒト(主催者、参加者、MICE人材)、モノ(施設、設備、開催地、技術ツール)、カネ(収支構造、リスクヘッジ、投資)、コト(開催形態、プログラム、持続可能性)の4つのキーワードを軸に、「変化と課題」そして「今後の方向性」が提示された。
「ヒト(主催者、参加者、MICE人材)」では、実際会場での参加者とオンライン参加者の円滑な交流や、MICE事業者のデジタル技術への理解や発信力などの強化が課題とされた。今後における方向性としては、MICE人材の戦略的な確保と育成などが挙げられた。
「モノ(施設、設備、開催地、技術ツール)」では、十分な通信容量、感染拡大防止ガイドラインの徹底などが課題とされ、方向性ではDX化に対応した施設力の強化等が挙げられた。
「カネ(収益構造、リスクヘッジ、投資)」では、キャンセルリスクの顕在化などに対する方向性としてキャンセル料規定などの見直し、ベーパーレス化なども挙げられた。
「コト(開催形態、プログラム、持続可能性)」では、セッションの合間での現地開催ならではのカジュアルなコミュニケーションの喪失、参加者の一体感醸成の難しさなどが課題とされ、デジタル技術を活用した、企画・運営手法の開発や、オンライン体験の充実などが挙げられた。
有識者インタビューによって得られた示唆の概要
同時に発表された「エグゼクティブ・サマリー」では、有識者インタビューによって得られた示唆がまとめられた。ヒト・モノ・カネ・コトを整理軸とし、「ヒト」の視点から「注意力の持続等の課題については、人間工学的な視点も含め参加者の快適性や利便性の向上が必要」や、「カネ」の視点から「参加者の会議登録料のあり方が変化する兆しが見られる」などの声が一覧できる。
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