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★観光庁、世界水準のDMOに向けて有識者交え検討会開催。人材・財源など課題を洗い出し

2018.11.09

政府は2016年「明日の日本を支える観光ビジョン」において、2020年に4000万人、2030年に6000万人の訪日客を迎えるという目標を掲げ、観光を国際競争力のある日本の基幹産業にするための手段として「世界水準のDMOの形成・育成」の重要性を謳った。

世界水準のDMOのあり方の検討にむけ、議論開始

DMOに関しては、2015年11月に観光庁が日本版DMO登録制度を開設。地域の稼ぐ力を引き出すとともに、観光地経営の視点を持った観光地域づくりの戦略策定及び多様な関係者を巻き込みながらも調整役として機能する法人をDMOとして認定し、支援していくことを発表した。それから3年が経過し、現時点では、86法人と122の候補法人がDMOとして認定されている。これらのDMOおよびDMO候補法人の取り組み実態を踏まえ、今後持続可能な観光立国の実現に必要な「世界水準のDMO」の在り方を検討するために、有識者を集めた検討会を開催した。

まずはじめに、今回の会議の事務局である観光庁地域振興課が、DMOに関する取り組み現状と今後の議論の進め方について報告。現在の枠組みでは、DMOの登録要件を充たした法人を「日本版DMO」として登録し、該当予定の法人を「日本版DMO候補法人」として登録している。今後は、先駆的にインバウンドに取り組む法人を「世界水準のDMO」として認定することや、DMO全体の底上げをするような施策の必要性について触れた。

DMOの成果に応じた支援を

その後、本検討会の委員が、世界水準のDMOの在り方に関する提案や意見をそれぞれが発表した。DMOが抱える大きな課題として、人材と財源の確保が挙げられる。人材については、プロの人材を確保することの重要性が挙げられたほか、他のDMO同士の交流や観光庁、自治体との話し合いの場を作ることの必要性についてもふれられた。財源に関しては、自治体からの補助金に頼るDMOが多く存在することを指摘。実績や成果に応じた支援をしていくべきという意見が出たが、一方で思うような成果が出せず迷走しているDMOに対しても何らかの支援をするなど、ボトムアップが必要という意見も出た。また、2019年1月より徴収する国際観光旅客税の一部をDMOの財源に充てるという具体的な提案もあった。

このほか、稼げるモデルの創出、稼ぎを域内で循環させる仕組み構築、行政やJNTOとの役割分担の明確化、品質管理の担保の必要性など、様々な意見が飛び交った。

今後は、DMOからのヒアリングを経たうえで、年度内に中間とりまとめを行う予定。

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(やまとごころ編集部)

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