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観光庁、オーバーツーリズムの調査と今後の方向性発表。国内外の先進事例を参考に「持続可能な観光指標」を開発・普及へ

2019.06.17

2030年に外国人旅行者数6000万人達成を目指し、官民一体でインバウンド対策に取り組んでいる。そのようななか、観光庁が2018年6月に設置した「持続可能な観光推進本部」は、観光地におけるオーバーツーリズムの現状調査を整理し発表した。調査に基づき、国際基準に準拠した「持続可能な観光指標」の開発・普及に向けての体制を構築している。

主要な観光地での混雑やマナー違反などの課題への関心、オーバーツーリズム現象に関連する報道も増え、個々に対応策を講じている地方自治体も多い。自治体への現状に対するアンケート調査では、上記のほかに課題として「観光客のマイカーや観光バス等による交通渋滞」「宿泊施設の不足」「緊急時の安全確保」などが上位に入った。

一方、国連世界観光機関(UNWTO)が世界各国で行った「観光が地域に与える影響について」というアンケートでは、「観光が市民生活にネガティブな影響を与えている」または「観光地のマネジメントに改善を求める」と答えた人の割合が日本では相当低いという結果になった。また観光庁が行った訪日外国人旅行者への調査においても満足度の低下は見られず、非常に高いレベルで推移していることが分かった。日本人に対しての質問で「観光地での訪日客増加という報道が旅行判断にどう影響したか」にも「国内旅行への影響がほとんどなかった」と答えた人が過半数という結果に。これらから、観光庁は他の主要国と比較しても「オーバーツーリズム」が広く発生するには至っていないという結論に達している。

今後は、関係自治体と協力しモデル事業などを実施した上で、国内外の先行事例を元に全国的なオーバーツーリズム対策を横展開していく。各自治体やDMOを国際基準の指標で導いていく考えだ。

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(やまとごころ編集部)

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