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【コロナ:世界の動きまとめ】欧州(EU)域外からの渡航規制も緩和へ。日本政府、1日250人程度から入国再開。中国、台湾、国内旅行順調に復活

2020.06.14

6月15日、欧州では域内の移動が再開、域外からの渡航規制解除を欧州委員会が提案している。日本政府が進めている入国規制緩和もまずは1日250名から始める予定であることが明らかになり、航空会社の動きも活発になってきている。

 

欧州、7月1日から域外からも段階的に緩和へ

欧州連合(EU)では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一時的に設けられていた国境検問などを6月15日から撤廃。EU内では再びパスポート審査なしで行き来できるようになる。

また、欧州委員会は11日、シェンゲン協定加盟国と同協定連合国に対して、域外からの渡航規制を7月1日から段階的に解除していくことを提案したが、シェンゲン協定の加盟国内に入ると域内の移動はパスポート審査なしで移動できるため、欧州委員会は協調した対応を呼び掛けた。出入国管理は加盟国それぞれの判断となる。

日本に対するEU内の動きとしては、ギリシャが15日より、EU加盟国に加え、日本や中国など約30カ国からの受け入れ再開を表明。スペインも7月から日本からの観光客の受け入れを再開するとしている。

欧州委員会発表の対象となるシェンゲン関連協定国は、シェンゲン協定国26カ国(オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス)とキプロス、クロアチア、ブルガリア、ルーマニアを含めた計30カ国。

 

日本政府、1日250人程度から入国再開の方向

日本政府は現在、新型コロナウイルスの水際対策として111カ国・地域からの入国を拒否しているが、比較的感染が落ち着いているベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国を対象に入国制限を緩和し、当面はビジネス関係者に限って1日250人程度を受け入れる方向で検討を進めている。入国者にはPCR検査はもちろん、公共交通機関を利用しないことや、スマートフォンに入国2週間の位置情報を記録することなどを求めるほか、感染者との接触情報を確認できるアプリの利用を要請する。

これを受け、入国規制緩和の対象国では日本便の運航再開の動きが見られる。ニュージーランド航空は、現地時間6月25日より約3カ月ぶりとなる「オークランド=成田」線を週1往復再開する予定としている。

ベトナム航空も、「ハノイ=成田/関西」線と「ホーチミン=成田/関西」線の4路線の再開を検討している。いずれも当面は現地発の片道のみで、貨物を主体に運航する考えだ。

 

各国航空会社、日本への運航再開

マレーシア航空は、7月より日本路線の運航を再開する。まずは「クアラルンプール=成田/関西」線の2路線で週2便の運行を予定している。同社は国内旅行の解禁と世界各国の渡航制限緩和を受け、6月から7月にかけて国内線と国際線の一部を再開する方針だ。

韓国のアシアナ航空は7月より「ソウル=関西」線の運航を再開。7月1日〜20日までは週3便、21日以降は毎日運航する。「ソウル=成田」線は、5月1日より1日1便を運航している。

台湾のスターラックス航空は「台北=那覇」線を新規就航する予定となっている。実現すれば、今年3月に那覇空港で第2滑走路が開設されて以来、初めて海外航空会社が乗り入れることになる。7月1日より1日1往復を運航する予定だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で計画が延期される可能性もある。

 

デジタル面でも導入を進める、シンガポール航空の安全対策

シンガポール航空では、機内での接触の機会を減らすために徹底した安全対策を行っている。6月8日からは乗客にマスク、抗菌ウェットティッシュ、消毒剤が入った衛生キットを配布しているほか、乗務員はマスクの着用が義務付けられ、必要に応じてゴーグルや手袋も身に着ける。また、機内で自分のスマートフォンを個人用モニターのリモコンとして使えるシステムや、アプリによるデジタルオーダーなど、デジタル面でも「非接触」への整備を進めている。

 

カンボジア:入国時に3000米ドル(約32万円)のデポジット

カンボジア保健省は外国人旅行者に対し、入国時の防疫措置に生じる費用を自己負担とし、入国時に最低3000米ドル(約32万円)をデポジットとして預ける義務を課す旨を発表した。同国では入国する外国人旅行者に空港での新型コロナウイルス検査を義務付けており、検査結果が出るまでは政府指定のセンターで待機する必要がある。防疫措置の費用は、空港から待機センターへの移動費が1人5ドル、検査費が1人1回100ドル、待機施設での滞在費が1人1日30ドル、食費が1日30ドルとなっており、陽性だった場合にはさらに検査費や、治療・薬剤費1人1日150ドル、入院滞在費1人1日30ドルなどが上乗せされる。デポジットは現金かデビットカードでの支払いとなるので注意が必要だ。

 

中国:順調に国内の観光が復活

新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にある中国では、すでに全国の観光地が再開されている。中国の『環球時報』紙は、観光地の対策として観光客が密にならないよう、チケットの事前予約とタイムシェアリング(時間割)ツアーを実施しているところが多いとした上で、これは現在の緊急戦略としてだけでなく、今後の観光トレンドにもなっていくのではないかと報じている。

また、多くの旅行者は事前の計画、予約、自由時間の利用、効率化、時間の節約などを重視していると指摘した。中国の観光地では、マスクの着用や、予約QRコードの表示、体温測定、社会的距離を保つよう促すといった安全対策が行われている所が多いようだ。

 

台湾:国内観光への制限を大幅に自由化

台湾政府は新型コロナウイルスの感染者が8週間以上発生してないことから、6月7日に新型コロナウイルス感染防止の制限措置を緩和。国家風景区、観光娯楽園区の人や車の制限を解除し、台湾域内の観光やイベントの制限を大幅に自由化した。公共交通機関を利用する際は、改札での検温とマスクの着用を乗客にも求めているが、乗車後に1.5mのソーシャルディスタンスを確保できる場合は、マスクを外すことも認めている。

台湾の衛生相は8日、国内旅行振興策に関する記者会見に臨み、将来的に外国人の受け入れを再開する際、外国人に対してPCR検査の陰性証明書を要求する方針であることを明らかにした。また、必要に応じて定期的なウイルス検査の実施や、自主的な健康管理(公共の場への出入り自粛や朝晩の検温など)を求める考えだ。

同じ記者会見で交通部観光局は、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた観光業の回復を狙い、国内旅行の需要喚起策を発表。旅行費の補助や観光事業者に対する優遇措置などに39億台湾元(約144億円)の予算を投じることを明らかにした。

台湾の桃園空港は、出入境制限によって利用者が大幅に減少する中、約11億2000万台湾元(約41億円)の予算を投じて施設の改善や建設工事を行なっている。新型コロナウイルスによる危機を逆手に取り、コロナ後により良いサービスを提供できるよう整備に力を入れているという。

 

今後はLCCが有利になる?

航空機のリースを行うSMBCアビエーション・キャピタルのピーター・バレットCEO(最高経営責任者)は、アジアでは航空旅行の需要回復の兆候が見られ、LCCが業界の回復を牽引すると予測している。同氏は、需要を再び促進していくためには、安い航空料金を提示する必要があり、その点で有利になってくるのがLCCの存在だと指摘している。

一方で、新型コロナウイルスの感染防止のため求められる間隔を開けた着席などによる収益率の低下や、需要が復活するまでの間の運営資金など、withコロナ時代の航空事情はLCCにとって厳しいとの意見もある。

(やまとごころ編集部:外島美紀子、深谷昌代)

 

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