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【コロナ:世界の動きまとめ】台湾など5カ国・地域「レジデンストラック」で往来再開。タイ、リゾートでの長期滞在を検討。中国、航空旅行は9月完全回復予測

2020.09.03

日本:新たに5カ国・地域と9月8日から

茂木外相は1日、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾との間に長期滞在者の往来を可能とする「レジデンストラック」を9月8日から開始すると発表した。入国後14日間の自宅待機は維持しつつ、追加的防疫措置を講じることで入国拒否の例外となる。

茂木外相は「人の往来を再開することによって、感染の拡大の防止とそしてビジネス活動、経済の回復と、この両立を図っていきたい」とコメント。さらに、これらの国・地域を含む各国・地域との間で、自宅等待機期間中も、ホテルや仕事場等の限定的な場所でのビジネス活動可能にする「ビジネストラック」についても調整を進めていることを明らかにした。

日本はすでに7月29日からタイ、ベトナムとの間で「レジデンストラック」の受付を開始している。

 

中国国内の航空旅行は9月には完全回復の予測

スペインに本社のある旅行分析会社のForwardKeysは、中国国内の航空旅行が9月の初めまでに完全に回復するとの予測を明らかにした。

新型コロナウイルスにより、一時期大幅に減少していた中国国内の航空路線を使った旅行は急速に回復しており、8月の第2週の国内空港への到着客数が、2019年の同時期の86%に達したことを明らかにした。

予約(発行済みの航空券)も98%となっており、そのほとんどが8月中旬から8月下旬の旅行に使われる予定の航空券だという。

ForwardKeysは、中国国内の航空旅行の回復には4つの要因があると分析している。第一に、中国で新型コロナウイルスの感染拡大が現在コントロールされていること。第二に、国内の航空座席総数が、昨年の同時期よりも5.7%増加するように設定されていること。第三に、多くの大学生が9月の新学年スタート前に旅行を楽しんでいること。第四に、各航空会社が低価格帯でのプロモーションを打ち出していることが、需要を刺激していると分析している。

6月中旬以降、中国の9つの航空会社が12のプロモーション商品を販売している。たとえば、中国最大規模の航空会社中国南方航空が3699元(約5万7700円)で発売した「快乐飞(ハッピーフライト)」パスを購入すると、8月26日から1月6日までの間、同じ出発空港から同じ到着空港へは最大2回までとの条件はあるものの、国内便を何度でも利用できる。上海に拠点を置く中国東方航空は週末限定のフリーパスで年内何度でも利用できる3322元(約5万円)のパスや、平日の午前8時以前に出発する便と午後8時以降に出発する便を、8月8日から2021年6月30日の春節期間を除く期間、何度でも利用できる国内線乗り放題パスを3456元(約5万2500円)で販売している。

このように中国では航空各社が様々なチケットを販売することなどにより、航空路線の利用は回復している。

ForwardKeysのOlivier Ponti氏は「中国の航空旅客数がパンデミック前のレベルに戻ったことは、新型コロナウイルスで大きな打撃を受けた世界の航空市場において、非常に重要なこと」とした上で、「回復を維持させるために、引き続き大幅な値引きが必要かどうか。10月の国慶節の連休中に中国の航空業界の収益が戻るかは、注視が必要」とコメントしている。

 

広州の観光業も昨年比70%まで回復

中国広州市政府は25日の定例記者会見において、広州の観光業は昨年同時期の約70%に回復したことを明らかにした。広州市文化放送観光局は、観光業喚起のために「広州歓迎您(広州へようこそ)」キャンペーンを実施しており、50以上のイベントの開催や旅行や消費に使える3000万元分(約4億6000万円)のクーポンを発行などが、経済活性化に役立っているという。

 

香港:新型コロナウイルスの無料検査開始

香港では1日から、新型コロナウイルスの無料検査を、希望者全員が受けることができるようになった。この検査は「普及社區檢測計劃(ユニバーサルテスト)」と呼ばれ、インターネットで申し込みをすると、香港内の140カ所の会場で、唾液を採取し検査を受けることができる。中国政府の全面的なサポートにより、1日で50万人の検査をすることができるという。ネットでの受付は、8月29日より始まっており、9月1日午後までに61万5000人が予約し、初日は12万6000人が検査を受けた。
検査対象はIDカードを持つ全ての香港居民で6歳以下は受けられない。無料検査は1人1回のみ。

政府は当初、人口750万人のうち500万人が受けることを前提に態勢の拡充を推進したが、この検査で収集されるDNAの情報が、検査以外で使われるのではないかとの懸念が広がった。香港政府は、検査官は誰の検体か名前を知ることができず、検査結果が出た時点で削除すると否定している。現在予約をしているのは全人口の約1割に留まっている。

 

香港ブックフェア、12月16~22日にリアルで開催

香港貿易発展局(HKTDC)は25日、香港最大のBtoCイベントで書籍・文具見本市「香港ブックフェア」を、12月16~22日に開催する予定であることを発表した。新型コロナの最新の感染状況などを踏まえ、開幕1カ月前となる11月16日に開催できるかを判断するという。当初、7月15~21日に開催を予定していたが、開幕2日前に急きょ延期となった。

香港ブックフェアは、香港最大のBtoCイベントで期間中100万人規模の来場者を毎年集めている。デジタルだけでなく紙メディアによる情報収集も重視する香港人は、ここで旅行関連の情報を得る人も多い。

 

タイ:10月24日まで日本線全便運休を決定、タイ航空

タイ航空は、日本とタイを結ぶすべての航空路線の運休を、10月24日まで延長すると発表した。羽田空港、成田空港、中部空港、関西空港を結ぶすべての直行便を運休させる。バンコクから日本各地への航空路線を運行させているタイ航空は、すでに千歳空港、仙台空港、福岡空港への全便と、中部空港、関西空港への一部の便の同日までの運休を発表しており、今回の発表により日本線全便が10月24日まで運休することになる。タイ航空は、9月10日に成田発バンコク行きの臨時便を運航させるが、こちらはすでに満席となっている。

 

プーケットでの長期滞在「セーフ・アンド・シールド」を検討

タイでは現在、観光客受け入れ再開に向け、一部リゾートでの長期滞在に限り、10月から再開する「セーフ・アンド・シールド」計画が検討されている。この計画はタイ最大のリゾート地、プーケット島を先行モデルとして実施予定だとう。

計画によると、島の中心地となるパトンビーチのホテル3、4軒を含む全長1キロ程の区域を指定区域とし、海外から到着した観光客はプーケット島に到着後14日間は、この指定区域にとどまることを義務付けるという。観光客は島に到着した時と14日目の2回、新型コロナウイルス感染検査を受け、陰性が確認されれば島内を自由に移動できるようになる。プーケット島から出て、他のエリアに移動する場合はさらに7日間の隔離が追加され、最終日に3回目の検査を受ける。

指定区域内のホテル従業員にも区域内に留まることを求め、区域から出る場合は隔離措置や定期的な検査を実施する予定だという。

このような政府の計画をもとに、タイ航空も日本を含む6カ国・地域からプーケットへのチャーター便を早ければ11月に運航することも明らかにしている。

 

シンガポール:外国人のビザ取得条件を厳格化

新型コロナウイルスの影響で経済の先行きに不安感が広がる中、シンガポール政府は27日、外国人のビザ取得条件を厳格化することを公表した。専門職向けのビザ(EP)取得の条件となる月給額を、3900シンガポールドル(約30万円)以上から、4500シンガポールドル以上に9月1日から引き上げる。シンガポール国内での雇用に対する不安の高まりを受けての措置となるが、日本企業にとっても日本人社員をシンガポールに送りづらくなるなどの影響が出そうだ。

 

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各国・地域の入国規制まとめ