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世界で最も魅力的な大都市ランキングで京都が初の1位、コロナ禍でのトップに価値あり

2020.10.13

アメリカの大手旅行雑誌コンデ・ナスト・トラベラーが年1回行っている読者投票の結果が10月6日に発表された。今年は新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、ほぼ誰も旅行に出かけることのできないという特殊な状況だ。そんななかで、2020年の「世界で最も魅力的な大都市ランキング」に選ばれたのは日本の京都市だった。

2019年は日本の3都市がはじめてトップ10に顔を揃えたことが話題になったが、残念ながらそのうちの一つ、大阪は今回、トップ10圏外に後退してしまった。しかし、根強い人気を誇る、京都、東京の魅力は健在で、特に京都は昨年1位の東京を退けて今年初めて1位に輝いた。

コンデ・ナスト・トラベラーの読者は高所得者層

コンデ・ナスト・トラベラーの読者数は約330万人。読者層は高所得者層を中心としているだけに、記事は品質の高い旅行、ホテル、レストラン、ショッピングなどに関する最新情報から構成されている。毎年秋に行われる読者投票は今年で33回目。大都市ランキングの他にも、ホテル、リゾート、スパ、航空会社などのランキングがある。

昨年まで2年連続2位だった京都が首位に輝いたのは、コロナ禍で古き良きものが見直されている傾向にあるとコンデ・ナスト・トラベラーが今年の結果全体を総括しているとおりなのだろう。一方で、京都にはモダンな空気も流れているのが魅力だという。

読者ランキング1位に輝いた京都の魅力とは?

同誌の評価によると、「10世紀に建てられた寺院や街で見かける舞妓の姿という古都の魅力は誰もが知ってのとおりで、京都は古き良きものが日本で最もよく保存されている街ではあるが、2011年の東日本大震災をきっかけに再生を遂げた街でもある。

KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭の共同創設者でもあるルシール・レイボーズ氏は『多くのアーティストが京都に移り住み、新しいエネルギーを持ち込んでくれた』と話す。町家が軒を連ねる通りにはクラフトショップやシックなコンセプトストアが並び、酒と並んでジンも人気が高い。ミシュラン星付きレストランは100軒ほどあるが、ミシュラン価格を払わなくても本物が味わえる創立200年の旅館『近又』がおすすめ」とある。

2位のフランス、リヨンは美食の都という点と、その建築物と時代を超越した美しさが高く評価された。3位は大ヒット映画『クレイジーリッチ!』の舞台となったシンガポール。4位は四季折々の魅力があるオーストラリアのシドニー。5位は文化の香り高いウィーン。そして東京が6位に入った。昨年1位で大都市ランキング常連の東京については、「ネオンきらめく高層ビルに静謐な寺院のコントラストが魅力で、世界最多のミシュラン星付きレストランを擁し、独創的なラーメンなら鬼金棒、日本の珍しいウィスキーを味わうならバー・ベンフィディック」と紹介されている。

魅力的な小都市、ベストホテル、トレイン、空港ランキングなどにも注目


一方、小都市のベスト10は昨年1位のメリダに続いて、メキシコのサン・ミゲル・デ・アジェンデが入った。スペイン植民地時代の18世紀に手工業で栄えた街は、メキシコ一の美しさといわれる姿がそのまま保存されており、定年退職したアメリカ人の移住先としても人気という。これら小都市については、魅力的なリゾートや宿泊先やレストランなどとともに紹介されている。

日本の都市が入っていないのは残念だが、地方へ足を運ぶ訪日客が増え、ラグジュアリーな宿が地方にも展開されれば、いずれこちらにも入るようなるかもしれない。

また、世界の国トップ20の1位はイタリアで、日本は昨年12位から4位にジャンプアップ。日本のベストホテルは昨年同様「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」だが、世界のベスト50ホテルやアジアのベスト20ホテルのランキングには残念ながら日本にあるホテルは入っていない。

ベストエアライントップ15ではJAL(11位)とANA(15位)がランクイン。ベスト空港トップ10は1位がチャンギ空港(シンガポール)で羽田空港が6位だった。また、ベストトレイントップ10の7位に、日本人だけでなくインバウンド客にも人気のななつ星in九州がランクインした。

なお、2019年に訪日したアメリカ人は前年比12.9%増の172万3861人で、中国、韓国、台湾、香港に続き全体の5位。滞在日数も長く、全国を旅するが、特に広島を訪れる客が多いのが特徴だ。