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【コロナ:世界の動き】320万人以上がワクチン接種のイギリスでは、夏の旅行に予約殺到。ドイツ、ロックダウンは4月初旬までの方向

2021.01.20

アメリカ、航空便での入国者全員に陰性証明書を義務付け

米疾病対策センター(CDC)はこのほど、航空便でアメリカに入国するすべての渡航者に対し、1月26日から新型コロナウイルスの陰性証明書の提示を義務付けると発表した。強い感染力を持つ新型コロナウイルス変異種が発見されたイギリスからの旅行者に対しては昨年12月末よりこの措置を講じているが、対象を全世界へと拡大する。航空便でアメリカへ入国するときには、出発前72時間以内に検査し取得した陰性証明書の提示が必要となり、提示がない場合は航空会社から搭乗を拒否されるという。

 

ホテルの空室の累計は10億室超

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないアメリカでは、ホテル業界が苦境に立たされている。イギリス調査会社STRの発表によると、同国における2020年のホテルの空室は累計(12月中旬時点)で10億室を超えたという。前年比で約5割上回っている。STRの調査では、ホテルが稼働しているにもかかわらず、宿泊客がなく空室となっていた客室を集計。年末年始には少し需要が戻ったが、ホリーデーシーズン後にこうした需要が持続する見込みはない。需要の低迷に直面する米ホテル各社は、大幅な人員削減などコスト削減を進めているという。

 

イギリス、全ての入国者に陰性証明書の提出と10日間の隔離を義務付け

イギリス政府は特定の国からの入国者に対して、自主隔離の緩和措置を取っていたが、1月18日午前4時から少なくとも2月15日までの間、これを全て停止すると発表した。ボリス・ジョンソン首相は「特定されていない変異株のリスクを防ぐため」と説明している。この措置により、航路、陸路、空路のいずれにおいても、イギリスに入国する全ての入国者は、出発72時間以内に行なった新型コロナウイルス検査の陰性証明書を提示しなければならず、入国後10日間の隔離も必要となる。ただし、隔離5日後に検査をして陰性であれば、隔離期間を短縮することができるという。陰性証明書を提示しなかった場合は500ポンド(約7万円)の罰金が科せられる。

 

320万人以上がワクチン接種のイギリスでは、夏の旅行に予約殺到

一方、イギリスではこれまでに320万人以上が少なくとも1回目のワクチン接種を受けており、接種を終えた中高年層の間で夏の旅行を予約する人が続出しているという。BBCなどの報道によると、ヨーロッパの大手旅行会社TUIのイギリス版サイトで入った予約のうち、半数が50歳以上の利用者だったという。また、予約された旅行の時期は7〜10月が多かった。英長距離バス会社のナショナル・エクスプレスも、65歳以上の利用者によるツアー予約は、過去2週間で前年同期比の185%に増加したという。

 

欧州、ロックダウンなどの強化策を相次いで延長

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している欧州では、ロックダウンなどの規制強化策が相次いで導入されている。イギリスで発見された新型コロナウイルス変異種への懸念や、各国でワクチン接種が計画通り進んでいないことが背景にあるようだ。

イタリアは13日、現在発令している非常事態宣言を4月末まで延長すると発表。新型コロナウイルスの流行に収束の兆しが見られないことを理由としている。

オランダも、ロックダウンの措置を少なくとも2月9日まで延長すると発表。同国ではロックダウンにより学校や店舗も閉鎖されている。

スイスでは、レストランなどの休業が2月末まで延長される。また、アルペンスキーのワールドカップ大会の中止も決定した。

 

ドイツ、全土を封鎖する「メガロックダウン」を検討

ドイツのメルケル首相はロックダウンを少なくとも4月初旬まで実施する意向を示しており、独シュパーン保健相も、変異種の拡大を防ぐためには人の接触をさらに少なくする必要があると指摘している。また、ドイツでは14日、新型コロナウイルスによる死者数が1244人と過去最多を記録した。メルケル首相は今後、全土を封鎖する「メガロックダウン」を実施したい意向を示しており、長距離の公共交通機関の閉鎖措置なども検討しているという。

 

フランス、18日より入国規制を強化。外出禁止令は午後6時に繰り上げ

フランス政府は、EU域外の国からの渡航者に対し、数分で結果が出る新型コロナウイルス検査の証明書では入国を認めない方針を示した。これを受け、18日以降は抗原検査などの陰性証明書が利用できなくなる。こうした検査は英仏海峡を往来するトラック運転手の間で普及しているが、英国で変異種が見つかったことから、フランスは入国規制を強化している。

フランスのジャン・カステックス首相は14日、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として全土で実施している夜間外出禁止制限について、16日より開始時刻を現行の午後8時から午後6時に繰り上げると発表した。これに伴い、学校や職場から帰る場合を除き、午後6時までに帰宅しなければならない。また、午後6時以降は緊急のサービス以外、すべての店舗や事業が閉鎖を余儀なくされる。

 

世界最大のMICE見本市「IMEX 2021」中止、シンガポールのイベントは開催

今年5月にドイツのフランクフルトで開催される予定だった世界最大のMICE見本市「IMEX 2021」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった。IMEXグループのレイ・ブルーム会長は1月11日、中止の発表とともに「2021年11月にラスベガスで開催予定の『IMEX America』と、2022年4月にフランクフルトで開催予定の『IMEX』を成功させることができると確信しています」と次回開催への期待をにじませた。

一方、シンガポールではMICEイベント「PCMA Convening Leaders 2021」が1月11日〜15日に開催された。シンガポール政府観光局とマリーナ・ベイ・サンズの協力を得てプロフェッショナル・コンベンション・マネジメント・アソシエーション(PCMA)が主催し、コロナ禍からビジネスイベント業界がどのように回復していくのかを主題に、パネルディスカッションなどを実施。オフラインとオンラインのハイブリッド形式で行われた会議が、全世界に向けて配信された。

 

中国、春節休暇中の自粛を呼びかけ

中国国家衛生健康委員会は18日、中国本土における17日の新型コロナウイルス感染者が109人だったと発表した。14日には144人に達し、昨年3月1日の202人以来、10カ月ぶりの高水準を記録した。2020年始めのピーク時に比べると依然として少ない水準で推移しているものの、北東部を中心に感染が拡大しており、すでに2800万人以上がロックダウンの対象となっている。感染の再拡大を受け、北京市や上海市など、少なくとも24の省や管轄市が、「春節連休中は不要不急の帰省を避けよう」「春節は今いる場所で祝おう」といった呼びかけを行っている。

 

北京市ではタクシー利用時の健康コードスキャンを義務化

北京市は、10日に行った新型コロナウイルス関連の記者会見で、「11日以降にタクシーやオンライン配車サービスの車両を利用する乗客は、健康状態を記録したアプリでスキャンし、登録を行わなければならない」と発表した。乗客が登録を拒んだ場合は、運転手が乗車を拒否できるという。北京市はタクシーやオンライン配車サービス業界に対し、勤務前の検温や、勤務中のマスクの着用、PCR検査、ワクチン接種、サービスごとの消毒と窓の換気など、7項目にわたる対策を打ち出している。

 

海南島免税店の売り上げ、前年比の2倍

“中国のハワイ”と呼ばれている海南島では、2020年の免税店の売上が320億元(約5160億円)を突破し、前年比の2倍を記録した。海南省では昨年7月より、離島免税の拡大政策が実施されており、免税店または承認されたインターネット販売窓口で免税商品を購入する場合、1人当たりの年間購入限度額が3万元から10万元(約150万円)に引き上げられた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、2020年第1四半期の免税販売額は前年同期比の30.3%減と大幅に減少したが、それ以降、政策の拡大や販促イベントなどの効果により大幅に需要が回復している。

 

香港政府観光局が発信する「バーチャルツアー」が好評

香港政府観光局は、香港旅行に対する認知度を高めるため、世界中の人々に向けたバーチャルツアーを開催している。同局はさまざまな人気観光スポットを取り上げ、バーチャルで旅行できるコンテンツを発信。中でも、日本の旅行会社と提携したバーチャルツアーは人気が高いという。

 

台湾企業、中国工場で働く社員に対し、春節帰省の自粛を呼びかけ

中国に製造拠点を置く台湾企業の間では、工場労働者に対し、春節連休中も帰省せずに現地にとどまるよう呼びかける動きが出てきている。台湾の電子メーカーは電子デバイス製品の需要拡大を受け、例年であれば閑散期のこの時期に受注対応に追われている。それに加え、中国では新型コロナウイルスの感染再拡大により、一部地域では入域規制を強化するといった措置が講じられており、連休中に台湾へ帰省してしまうと中国での職場復帰が円滑に進まないという状況が背景にある。台湾各社は春節連休中に通常通り出勤した社員に対し、奨励金を支給するなど、対策を進めている。

 

韓国、全国民にワクチンを無料接種

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11日の新年の辞で新型コロナウイルスのワクチン接種について触れ、「全国民が無料で接種を受けられるようにする」と述べた。当初は医療関係者などを対象にワクチンの無料接種を検討していたが、その対象を全国民に拡大することを決めた。目標は、今年11月までに集団免疫を獲得することだという。

 

タイ、政府観光庁がコロナ対応のデジタルサービスを拡充

1月14日から、海外からタイに入国するタイ国籍を有しない人は、入国前に新規アプリ「ThailandPlus」アプリケーションのダウンロード登録が必要となった。タイ政府は日本などからの観光目的での入国も認めているが、タイに入国するすべての渡航者は、タイ入国後の14日間隔離と入国前に入国許可書(COE)の取得が必須となっている。

また、タイの政府観光庁は、海外からの渡航者が入国後に自己隔離をするホテルを予約できるプラットフォームも発表した。タイ政府は現在、海外からの帰国者と入国者に対し入国後の14日間の自己隔離を義務付けており、そのためのホテルを指定している。

このプラットフォームでは、15泊の宿泊や、空港からホテルへの送迎、1日3食、1日2回の検査などがパッケージ化されており、利用者は約100カ所のホテルから選ぶことができる。同庁はこの他にも、旅行情報を提供するストリートマップアプリを開発。ニューノーマルの中で旅行する人々が、マップ上で観光スポットや宿泊施設、飲食店などの情報を確認することができるほか、感染予防対策などの情報も得ることができる。

新型コロナウイルスの感染が再拡大しているタイでは、国民生活が打撃を受けていることから、政府が追加の給付金を検討していることが明らかになった。関係者によると1人当たり4000バーツ(約1万3800円)の現金給付案が承認される見通しだという。