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【コロナ:世界の動き】台湾、3月1日から外国人の入境規制を一部緩和。アメリカ、ワクチン接種で新規感染者激減か。イギリス、5月17日から海外旅行再開の可能性

2021.03.03

世界各国では、ワクチンの接種が進み感染者の減少傾向も見てとれる中、イギリスでは海外旅行の予約が急増。香港では地元ツアー旅行の制限緩和の動きなどが出ている。国際航空運送協会(IATA)が発行する、新型コロナウイルス検査やワクチン接種記録をアプリで一元管理できる「トラベルパス」への注目も集まる。一方で、フィンランドは3月8日から、ロックダウンに入るとの発表。アメリカ、ニューヨークで感染力の強い新たな変異株のコロナが見つかるなど、まだまだ先行きは見通せない。

 

IATAの「トラベルパス」がまもなく発行

国際航空運送協会(IATA)は、新型コロナウイルス検査やワクチン接種記録をアプリで一元管理できる「トラベルパス」をまもなく発行する。IATAは、各国が依然として厳しい入国規制や隔離措置を続ける中、国境を開放するソリューションとして重要な役割を果たすと発表している。世界各地で実証実験中の他のアプリと連動することができ、iOSとアンドロイドのいずれにおいても無料でダウンロードして使用できる。開始予定は3月で、各国・地域の規制情報なども盛り込まれるという。IATAはこのアプリを、検疫なしで各国が国境を再開するきっかけにしてほしいと発表している。

 

ワクチン接種促進に向け、各国が様々なインセンティブを提供

世界各国ではワクチン接種を推進するために様々な特典を用意しているようだ。世界最速でワクチン接種が進むイスラエルでは、首都テルアビブ市で、ワクチン接種後にピザ1枚とコーヒー、フムス(ひよこ豆の料理)などを無料で提供している。また、2回目の接種を終えた人に「緑色パスポート」を発行し、このパスポートがなければジムやプールなどの施設に入れないといったシステムもある。イスラエルではすでに人口の約半数が1回目の接種を終え、2回目の接種も34%の人が終えているという。

スウェーデンおよびデンマークではワクチンの電子証明書を発行し、所持者のみに国外旅行や、スポーツ競技への参加などを許可する方針を検討している。

アメリカのマサチューセッツ市では、インターネットでの予約ができなかったり、体が不自由で接種会場に行けなかったりする高齢者のために、高齢者に付き添った人にもワクチン接種を行っている。

なお、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は1日、世界の新型コロナウイルス新規感染者数が先週、7週間ぶりに増加に転じたと明らかにし、「ワクチンのみに頼る対応は間違いだ。引き続き基本的な公衆衛生措置が新型コロナ対応の基盤となる」と警告した。

 

アメリカ、新規感染者が77%減少

『The Wall Street Journal』に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学のマーティー・マカリー教授の記事によると、アメリカでは過去6週間で新型コロナウイルスの新規感染者が77%減少しているという。主な理由は、人々が新型コロナへの感染によって自然免疫を獲得したことや、ワクチン接種が進んでいることが挙げられている。同教授は、現在のペースで進めば4月までに新型コロナウイルスへの感染はほとんどなくなり、通常の生活を再開できる可能性もあるとの見方を示している。

 

2回分接種した人は検疫省略

米国疾病予防管理センター(CDC)は2月10日、新型コロナウイルスのワクチンを2回分接種した人は、濃厚接触者になった場合でも検疫を省略できると発表した。ただし、2回目の接種から少なくとも2週間が経過し、3カ月以内であることが条件。また、ワクチンを接種していても、国が定める予防措置に従う必要があるとしている。

 

ニューヨーク市で新たな変異株が拡大

米コロンビア大学医学大学院の研究チームは24日、南アフリカで確認された感染力の強い変異株と類似点のある、新たな変異株がニューヨーク市で拡大していると発表した。最初に確認されたのは11月で、2月半ばまでに感染者のおよそ12%がこの変異株に感染したという。

 

イギリス、旅行再開計画の発表で航空会社の予約が急増

イギリスのジョンソン首相が発表したコロナ後の社会活動再開計画を受け、イギリスでは海外旅行の予約が急増している。ジョンソン首相は、6月21日までに段階的に制限を緩和していくと発表。また、第3段階にあたる5月17日からは国際旅行が再開される可能性があると述べた後、チケット販売が4倍以上になった航空会社もあるという。人気の渡航先は、イタリア、スペイン、トルコ、ギリシャ、カリブ海など。これを受け、航空会社の株価も上昇し始めている。

 

ドイツ経済相、飲食店の営業再開について言及

ドイツのアルトマイヤー経済相は2月26日、飲食店の営業再開の見通しについて言及した。ドイツでは昨年11月以降、飲食店や娯楽施設が閉鎖しており、12月中旬からは生活に欠かせない業種以外の店舗やサービス、学校も閉鎖されている。同経済相は、イースターの4月4日頃には飲食店の屋外での営業が再開できるだろうとの見解を示した。

 

フィンランド、3月8日からロックダウンを導入

首都のヘルシンキを中心に、新規感染者が急増しているフィンランドでは、マリン首相が3月8日から3週間のロックダウンに入ると発表した。緊急事態宣言を発令する準備も進めており、飲食店の閉鎖や、13歳以上の学生に対する遠隔での学習を義務付ける。

 

中国、海外へのカジノ観光を規制へ。日本も打撃の可能性

中国政府は昨年、海外のカジノ集積地への渡航を制限する「ブラックリスト制度」の創設を発表したが、近く対象国・地域を拡大し、発動する準備を進めている。対象国・地域はまだ発表されていないが、旅行業界関係者によると、フィリピン、ベトナム、カンボジア、オーストラリアなどが挙がっているという。2018年にIR整備法が成立した日本も、打撃を受ける可能性がある。

IR誘致を目指す大阪府・市は2月12日、新型コロナウイルスの影響を受け、事業者に求める条件などをまとめた「実施方針案」を修正した。同府・市が目指す、世界最高水準の施設の完成時期は明示していない。現在、大阪IRの事業者に名乗りを上げているのは、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループのみで、MGMもコロナ禍で打撃を受けているため、方針案の修正は撤退への懸念によるものとみられている。

 

台湾、3月1日から居留証を持たない外国人でも許可取得で入境可能に

台湾の中央感染症指揮センターは2月24日、3月1日より外国人の入境規制を一部緩和すると発表した。居留証を持つ外国人のほか、居留証を所持しない外国人でも台湾外交部(外務省)から「特別入境許可」を取得した場合は入境が認められる。ただし、観光目的の入境は引き続き禁止となる。また、通常は14日間の隔離期間を、「中低感染リスク国・地域」からの訪台者は最短で7日間に、「低感染リスク国・地域」からの訪台者は最短で5日に短縮できる措置をとる。桃園国際空港でのトランジットも3月1日より解禁する。

同センターの陳指揮官は2月16日、記者からの海外旅行の再開時期に関する質問に対し、来年の春節には再開が期待できるとの見解を示した。また25日には、友好国との間で「トラベルバブル」を小規模に実施する可能性や、長距離路線の乗務員に対する外出制限を、台湾入境後の7日間から5日間に短縮する可能性についても示唆した。

 

香港、地元旅行ツアーの制限緩和

香港旅行社東主協会は、新型コロナワクチンの接種を推進するため、香港市民が隣接する中国の深セン市に赴いてワクチンの接種ができるよう中国当局に提案しているという。香港でもワクチン接種が間もなく開始されるが、全市民が接種するまでには数カ月かかる見通しで、同協会は旅行業界への影響が続くことを懸念している。具体的には、旅行業界が越境バス会社と提携し、香港市民が深センでワクチン接種を受ける日帰りツアーの実施案が浮上している。

香港経済民生連盟も、中国本土との「ワクチン通関通行証」の設置を中央政府に提案すると発表。同連盟は、ワクチン接種をすることで両地の市民が往来できるよう提唱している。

感染状況が改善されてきた香港では、再び規制が緩和された。2月18日からは飲食店での店内飲食が午後10時まで認められ、1テーブルに4名まで利用できるようになった。ただし、飲食店の入店時には新型コロナウイルスの感染者と接触した可能性を通知するアプリ「安心出行」のQRコードをスキャンするか、携帯電話で個人情報を登録する必要がある。香港ではこの規制緩和の発表を受け、「安心出行」アプリのダウンロード回数が100万回を超えたという。観光においては、域内の旅行ツアー制限が緩和され、早ければ3月上旬頃には再スタートできる見込みとなっている。