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2021年の旅行意欲、日本人の7割が仕事や恋愛より旅行を優先。地域ビジネス支援にも積極的 ---ブッキング・ドットコム調査

2021.04.26

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が各国で開始されたことを受け、世界の旅行者は今、旅行に対してどの程度前向きに捉えているのか。世界最大級の宿泊予約サイトを運営するブッキング・ドットコム(Booking.com)はポストコロナ時代における旅行の優先度や、旅行業界の回復に向けて必要な支援を明らかにするため、「今後の旅行の展望と優先事項」について世界約2万人を対象にした大規模な調査結果を発表した。調査は2021年1月~2月にかけて行われ、今後12カ月の間に旅行を計画している日本人1000人を含む世界28カ国の2万8042人と、ブッキング・ドットコムが提携しているパートナー宿泊施設関係者20カ国3491人を対象にオンラインアンケートで実施した。

2021年の旅行意欲、約半数が前向き

まず、2021年の旅行について、日本の旅行者の45%が「可能だと思う」と前向きな回答を示した。さらに、「2020年に思うように旅行ができなかった分、2021年にはより旅行に行きたい」と回答したのが56%にのぼり、自由な移動が制限されたこの1年間で、旅行への願望がますます強まっていることがわかった。

ワクチン接種と海外旅行との関係性では、日本の旅行者の59%(55歳以上では69%)は「ワクチンを接種するまでは海外旅行に行かない」と回答した。また、「ワクチンの接種を実施している国にのみ旅行をする」と回答したのが32%、「ワクチンを接種しても海外旅行は不安」と回答したのが41%だった。もし、旅行する条件としてワクチン接種の証明が必要な場合、旅行者の45%は「対応する」と回答。加えて70%は「旅行時のマスクの着用義務を受け入れる」と答えており、旅行中の感染予防に協力的な姿勢を示した。今後の旅行、特に海外旅行においては、ワクチン接種の有無と各国の感染症対策が非常に重要な指標となっていることは明らかだ。

ポストコロナの優先事項に「旅行」

2020年に今までのように旅行ができなかった状況を受け、日本の旅行者の45%は「メンタルヘルスに影響があった」、43%は「移動が制限され、閉じ込められているような気分になった」と回答した。自由な旅行や移動が制限されたことで、日常生活においても心理的にネガティブな影響があったことが判明した。そのため、新型コロナウイルス感染拡大以前と比べ、ポストコロナの2021年は旅行の優先度が上昇している傾向が見て取れた。アンケートでは日本人旅行者の60%は旅行を以前より「重要だ」と感じており、71%もの旅行者が「2021年は恋人を見つけるよりも休暇に行きたい」と回答した。さらに、日本の旅行者の77%は、「仕事やキャリア、昇進よりも旅行を優先する」と回答しており、恋人や仕事よりも旅行の優先順位が高まっている結果となった。

 

日本人は悲観的、「ビーチに行けるか」は世界と3倍の開き

2021年夏の見通しについては、日本人の慎重な姿勢が顕著に表れ、世界と大きく差が出た。世界の旅行者の61%が「2021年の夏までにはビーチに行くことができるようになると確信している」と回答しているのに対し、日本の旅行者はわずか20%に留まった。

今年の夏のビーチは実現が難しいとしても、旅行に再び行けるようになったときの旅先については、「ビーチやスパでリラックスするような旅先を選ぶ」が24%にのぼった。一方、アクティブな旅行は6%、都市部への旅は5%に留まった。目まぐるしく状況が変化したコロナ禍ではストレスを強く感じた人も多く、旅先に癒やしを求める傾向が明らかとなった。

 2021年の旅行需要、パートナー施設の6割は高まると予測

今回の調査ではブッキング・ドットコムが提携しているパートナー宿泊施設の関係者20カ国3491人(うち日本は79人)にもアンケートを行なっている。その結果、パートナー施設の62%は「2021年には再び旅行への関心・需要が高まる」と予想し、既に70%のパートナ施設では旅行者が安全に旅行できるように「安全対策の強化と清掃手順の見直しを行った」と回答した。旅行業界復活に向けて、前向きに取り組んでいる様子がうかがえる。その一方で政府に対して支援を求める声も多く寄せられた。特に今後取り組むべき課題としては、「旅行や移動に関する勧告や、より一貫した国際基準の設定」、「迅速なワクチン接種体制の確立」、「旅行前の新型コロナウイルス検査の広域化」の3つが挙がった。こうした対応を迅速かつ確実に実行するためには、観光業界をはじめ、旅行者、政府と三者が一体となって取り組む必要がある。

旅先選びは有名観光地より、地域ビジネス支援にも意欲

再び旅行者側のアンケート結果に戻ってみると、旅行者が旅行業界を支援する方法について、日本人の旅行者1000名のうち、31%が「旅行者の少ない目的地を選ぶ」と回答した。次いで「個人経営の宿泊施設を選ぶ予定」が18%、「地域のビジネスを支援するため、地元の宿泊施設を予約したい」が16%だった。旅行がキャンセルされた場合には、「返金を要求する代わりに、受け取ったポイントやクーポンを使用する」と答えた旅行者も11%いた。

新型コロナウイルス感染症拡大を機に、密のない場所選んだり、個人経営の宿泊施設や地域ビジネスへの支援などに目が向くなど、これまでとは違った基準で旅行先を選ぶ兆候も見えている。