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EU 入国規制緩和へ、ワクチン接種で観光客も入国可能に。欧州各国でも海外旅行再開の動き

2021.05.13

EU、今夏に域外からの観光客受け入れ再開か

欧州委員会は5月3日、現在禁止されている不要不急の目的でのEU域外から域内への渡航を認める案を加盟国に提案した。不要不急の目的には観光も含まれ、EUが許可した新型コロナウイルスのワクチンを少なくとも渡航の2週間以上前に接種していることが条件となる。一方、この案には域外で新たな変異株が確認された場合などに対応するため、加盟国が渡航制限をかけられる「緊急ブレーキ」の条項も含まれることになる。EUでは、新型コロナウイルスのワクチンの接種を完了した人や、検査で陰性だった人、最近新型コロナウイルス感染症から回復した人に交付する「デジタル・グリーン証明書」の発行も計画中だという。現在、不要不急の渡航が認められているのはオーストラリアや韓国など、感染状況が落ち着いている7カ国のみだが、アメリカでワクチン接種を完了した人は、今夏にも欧州への渡航が認められる可能性があるようだ。フォンデアライエン欧州委員長はツイッターで「観光産業を安全に再開させる時が来た」と綴っている。

欧州委員会の5月4日の発表によると、EUの人口の25%以上がすでにワクチンを1回以上接種したという。

 

フランス、6月9日から条件付きで外国人観光客受け入れへ

フランス政府は、4段階に分けて新型コロナウイルス感染症に関連する制限措置の緩和を行うと発表し、5月3日には国内の移動制限が解除された。5月19日以降は夜間外出禁止令の開始時間を21時に緩和し、美術館や映画館、劇場が入場制限付きで営業を再開するほか、カフェやバー、レストランでは屋外のテラス席での営業が可能になる。6月9日には夜間外出禁止令の開始時間を23時に緩和し、6月30日には完全に解除される見通しだ。さらに、6月9日からは、ワクチン接種や免疫を証明する「健康パス」を示せば文化的な場所、スタジアム、見本市、または「大きなイベント」(最大5000人)に参加できるようになり、「ワクチンパスポート」を保有する外国人観光客の入国も認めるという。

 

イギリス、5月17日より条件付きで海外旅行を解禁

イギリス政府は5月7日、新型コロナウイルス感染症の感染者が減少したことを受け、夏のバカンスシーズンを前に海外旅行の再開を認めると発表した。5月17日から渡航先を感染リスクに応じて「青」「黄」「赤」という3つのカテゴリーに分ける「信号機システム」を導入。最も安全な「青」には人口の約6割がワクチン接種を完了したイスラエルのほか、感染状況が落ち着いているオーストラリア、ニュージーランド、香港、アイスランドなど、12の国・地域が含まれ、帰国後の隔離措置が免除される。日本は「黄」に分類され、日本からイギリスに渡航した場合は10日間、自宅などで隔離が求められる。赤に分類されているインドやブラジルなどからの渡航した場合は、政府指定の宿泊施設で10日間の隔離が必要になる。

 

イギリス、社会的距離のルール6月に廃止の動きも

イギリスのジョンソン首相は5月3日、新型コロナウイルス感染症対策として実施されている社会的距離の(マスクをしていれば屋外で1メートルまで接近することを認める)ルールを6月21日から廃止できる可能性があると述べた。ジョンソン首相は昨年末にスタートしたワクチン接種が順調に進んでおり、その成果が「実際の疫学データに表れている」と説明。これを受けて、行動制限を撤廃できるかもしれないとの期待を示した。一方で「データ次第なので、まだ断定はでいきない」と、データに基づいて慎重に判断する姿勢を見せている。

 

イタリア、今夏に外国人観光客の受け入れ再開へ

イタリアのトラギ首相は5月4日、観光をめぐる国際会議後の記者会見で、新型コロナウイルスワクチンの接種証明となる「グリーンパス(ワクチンパスポート)」を5月中旬から独自に発行すると発表し、今夏に外国人観光客の受け入れを再開する方針を示した。イタリアのメディアによると、ワクチンの接種証明書や感染症検査の陰性証明書の提示を条件に、まずはEU加盟国などから外国人観光客の入国を認めていくという。トラギ首相は「イタリアでの休暇を予約する時が来た」と述べて、受け入れ態勢ができていることを強調した。

 

スペイン、EU以外の国の渡航制限を5月末まで延長

スペインは、EUおよびシェンゲン圏以外の国・地域からの不要不急の渡航を制限する措置を、5月末まで延長した。スペイン当局は以前、6月に外国人観光客の受け入れを再開する準備を進めていると発表し、夏までに観光業を復活させるために、米英からの旅行者を迎える準備ができていると強調していたが、今回の決定により、少なくとも5月中はEUおよびシェンゲン圏以外の国・地域からの不要不急の渡航が認められないことになる。ただし、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、ルワンダ、中国、タイ、香港、マカオなど、感染率の低い国・地域からの渡航者は、条件付きでスペインへの入国が認められる。