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持続可能な観光の推進で注目集めるエコツーリズム市場、2027年に約36兆円に到達見込み。年平均14.3%成長との予測

2021.05.28

パンデミック以前から、多くの観光客が押し寄せることで地域住民の暮らしに支障をきたす観光公害が問題となっており、持続可能な観光という視点からエコツーリズムという考え方が発展しつつあった。コロナ禍の今、密を避けた旅行へのニーズと相まって、エコツーリズムへの注目が更に高まっている。そこで、今後この分野にどれほどの可能性があるのか、アメリカのリサーチ会社が、エコツーリズムに関する市場調査を行った。

持続可能な観光の概念に基づく「エコツーリズム」

エコツーリズムとは、自然の生態系への悪影響を最小限に抑えることを目的とした持続可能な観光という概念の下にある、自然を維持・保全することに重点を置いた旅行形態だ。エコツーリズムでは、動植物や文化遺産が魅力の中心となる人里離れた自然のままの場所を訪れる。今回のレポートは、国際的なアウトバウンド旅行のみを対象として調査を行ったもので、この市場には、北米、欧州、アジア太平洋、および中南米の旅行者の支出額などが含まれる。

エコツーリズムの市場規模、2027年には約36兆円規模に

エコツーリズムの市場規模は、2019年には1811億米ドルとなり、2021年から2027年にかけて14.3%の年平均成長を記録し、2027年には3338億米ドル(約36兆2987億円)に達すると予想されている。2019年のエコツーリズムの市場シェアでは、グループ部門がリードしており、予測期間を通じてその優位性を維持すると予想されている。

全9章からなるレポートでは、2021年から2027年の間におけるエコツーリズムの世界市場が、個人、団体など旅行者のタイプ別、年齢層別、および旅行代理店、直接販売などの販売チャネル別、そして地域別で分析されている。

エコツーリズムの成長機会は環境意識への関心の高まりと日常からの逸脱願望

エコツーリズム業界の成長は、主に環境意識の高まりに起因する可能性があり、さらに、熱帯生態学、民族植物学、霊長類生態学、および古代文明の考古学の分野への旅行者の関心の高まりなどが、世界のエコツーリズム市場を拡大する要因となっている。環境にやさしい観光宿泊施設の利用可能性の高まりは、エコツーリズム市場の成長を促進しているが、一方で、社会的公平性の程度に関するエコツーリズムへの懸念が、エコツーリズム市場の主な成長抑制要因となっている。外国の文化を体験するエコトラベルへの人々の関心の高まりと日常生活の単調さを打破するための生き方は、エコツーリズム業界に成長機会をもたらすことができる。現在、エコツーリズムはその初期段階にあり、今後数年間で広く採用されることが予想されている。

市場成長促進要因や市場機会、市場動向、また企業戦略等に関する広範な調査を通じて詳細な市場分析および将来予測を行ったフルレポートは、グローバルインフォメーション社ホームページにて販売されている。