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日本人の旅行意欲は国内に集中、オリパラ控え アジアでは日本への旅行意欲高まる。2020と2021年の検索数を比較

2021.06.03

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が徐々に普及するなか、特に旅行意欲が高まる夏休み期間に人々は国内と海外どちらに目を向けているだろうか。世界最大級の宿泊予約サイトBooking.com(ブッキング・ドットコム)では、2020年4月と2021年4月の検索先を比較したところ、日本ではいまだ海外旅行に対して慎重な姿勢のままだが、海外の人々は去年に比べインバウンド意識が回復傾向にあることがわかった。調査は2020年と2021年において、それぞれ4月の時点で人々がブッキング・ドットコム上で7~8月を対象として検索した旅行先や宿泊予約の回数を分析した。

昨年のベトナム人気に代わり、今年は国内中心

日本にいる人々が国内海外を含めて7~8月の宿泊先として検索した結果を2020年と2021年で比較すると、昨年はトップ10のうち、ベトナムが7地域を独占していたが、今年はすべて国内に置き換わった。昨年4月時点ではベトナムは新規感染者が少なく、観光目的の入国制限も比較的緩やかだったため人気が集中したと考えられる。しかし1年経った今、長引く外出自粛や変異株の感染拡大などの状況を鑑みて、多くの日本人は海外ではなく、国内の旅行を検索している姿が浮き彫りとなった。

 

国内旅行では沖縄が圧倒的人気

さらに宿泊先として検索した回数を日本国内に絞って比較したところ、2020年と2021年ともにトップ10のうち4つを沖縄県の観光地が占め、リゾート地沖縄の人気の高さが際立った。沖縄以外では東京、京都、大阪、福岡、札幌などが順位の上下はあるものの、昨年に引き続きトップ10にランクインしており大きな変動はなかった。

 

海外宿泊先ではホノルルが人気No.1

一方、宿泊先として検索した回数を「海外」に絞ったランキングでは、2020年と2021年では10地域中9地域が入れ替わるなど、大きく様変わりした。2020年は先に述べた通り、入国制限が比較的緩やかだったベトナムが上位9位までを独占していたが、2021年の調査結果では姿を消した。代わって従来から人気が高い観光地ホノルルが1位となり、続いてバンコク、ロンドン、パリ、ニューヨークなどがトップ10入りした。ランクインしている地域の半数が近場の東南アジアとなった。ワクチン接種が先行している国・地域を中心に「今年の夏こそは行きたい」と考える日本人の旅行欲を反映した結果をいえそうだ。

 

前年比較で急上昇1位は葉山町!おうち時間を利用して国内の魅力を再発見

日本にいる人々が国内外で検索した宿泊先について、前年と比較し大きくランキングを上昇させた地域を分析、すると、最も検索数が上昇していた地域は葉山町(神奈川県)だった。葉山町は鎌倉のすぐ近くにある海辺のリゾート地と知られ、隠れ家的なホテルやカフェ、美術館などが点在する。2位は網走市、3位美瑛町と続き、4位うるま市、9位西表島と北海道や沖縄の観光地が複数ランクイン、トップ10はすべて国内の地域が占めた。長引くコロナ禍で海外旅行よりも現実的な国内旅行に注目が集まっている結果といえる。また、7位に淡路市、10位にさいたま市がランクインしていることから、大都市圏から近い場所でも改めて目を向けることで旅気分を味わっている様子がうかがえる。

 

アジア近隣諸国では日本への旅行意識が戻りつつある

東京オリンピック・パラリンピックの開催を夏に控える日本への関心は海外でどのくらい高まっているのか。海外にいる人々が4月の時点で検索した地域名ランキングを見てみると、シンガポール(7位)、香港(12位)、中国(19位)、フィリピン(20位)、韓国(20位)で日本(東京都)が多く検索されていたことがわかった。東京以外では大阪、京都、加賀、札幌なども検索されていた。世界では新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が普及するにつれて、徐々に海外旅行に対する関心が戻ってきており、特にアジア近隣諸国では日本への旅行意識が高まっていることが明らかとなった。

今回の調査では2020年と2021年の同時期を比較することで、コロナ禍における旅行意識がどのように変わったかが浮き彫りとなった。今年の夏も引き続き日本人は海外旅行に対して慎重な姿勢であることや、日本人の海外への興味関心は、ホノルルに代表される「南国」やパリ、ロンドンといった「王道の観光地」に改めて注目が集まっていることがわかった。