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2021年IMD世界競争力ランキング発表。スイスが初めて1位を獲得、日本は31位

2021.07.27

スイス・ローザンヌに拠点を置くビジネススクール・国際経営開発研究所 (IMD) が2021年の「世界競争力ランキング」を発表した。それによると、1位を獲得したのは前回3位のスイスだった。

2021年のランキングには、パンデミックが経済にもたらした影響が反映されている。ランキング上位国の共通点として、イノベーションへの投資、デジタル化、福祉給付金、社会を結束させる指導力が挙げられ、感染拡大の規模に関わらず、パンデミック以前から経済的にゆとりのある政策を実施していた国がその影響を最小限にとどめているという点が大きな傾向といえるだろう。

ここでは毎年発表されるIMDの「世界競争力ランキング」の概要、スイス含む上位3カ国と日本の評価をレポートする。


IMDの「世界競争力ランキング」とは

世界の主要60か国と地域を対象に、「企業にとってビジネスをしやすい環境がどれほど整っているか」を基準に順位付けしたもの。「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つの指標が設定されており、全部で300を超える項目を調査して決まる。

初めて同ランキングが発表されたのは1989年で、今年で33回目。幅広い観点から企業が競争力を発揮できる土壌の整備度を測るものと見ることができるため、世界各国の経営層や投資家が参考にしている。

 

ランキング上位は欧州勢

2021年のランキング結果を見ていく。スイスは同ランキング発表以来初の1位を獲得した。4つの指標のうち「経済状況」で前年の18位から7位へと大きく順位を上げたのが目立った。「政府の効率性」は前年と同様2位、「ビジネスの効率性」は5位(前年9位)、インフラが1位(前年3位)とここでもランクアップしている。

スイスはヨーロッパ圏としてのメリットを生かしつつも、欧州連合加盟国ではないため、スピード力のある選択をすることができた。IMD世界競争力センター所長を務めるアルトゥロ・ブリス教授は、「ランキング上位に入ったのはEU非加盟国か、少なくとも(ユーロを共通通貨とする)ユーロ圏外の欧州の国だった」点を指摘した。

2位のスウェーデンはイノベーション、デジタル化、福利厚生、社会的結束への投資で目覚ましい成果をもたらした事が大きな要因で2位にランクされた。

3位のデンマークは「ビジネスの効率性」1位(前年1位)、インフラ3位(前年2位)では高いスコアだったが、「政府の効率性」7位(前年4位)が後退した。

アジア勢では3カ国・地域がトップ10

アジア勢では、過去2年間1位だったシンガポールが、4ランクダウンの5位。新型コロナウイルス感染症による死者数は36人という非常に高い衛生基準を維持できているが、輸出入に大きく頼る経済がパンデミックによる打撃を受け、ナンバーワンの座から転落した。

この他、香港が2ランクダウンの7位、台湾が3ランクアップの8位と、ベスト10に顔を揃えた。また2020年20位だった中国は4ランク上げ16位となった。

 

日本の順位の推移

日本は1989年からバブル期終焉後の1992年まで連続で1位で評価され、96年まで5位以内を維持するなど高い評価を得ていた。しかし、97年に一気に17位にまで急落。以降も順位は下がり、2020年は過去最低の34位まで落ち込んだが、今年は前回から3ランク上げ31位という結果になった。

2021年の評価スコア
「経済状況」12位(前年11位)
「政府の効率性」41位(前年41位)
「ビジネスの効率性」48位(前年55位)
「インフラ」22位(前年21位)

様々なランキングで指摘されることだが、ここでもまた、いまだにFAXを使う文化があるなど、世界の先進国の中でもデジタル化やグローバル化に対応できない日本の性質が目立つ結果となった。