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2021年6月の世界の航空需要 欧米中東などワクチン接種率増と共に回復、アジア太平洋は9割減と大苦戦

2021.09.03

IATA(国際航空運送協会)によると2021年6月の世界の航空需要は、国際線、国内線ともに前回記事を掲載した4月よりは微増していることがわかった。ただし、各国政府の入国規制によりパンデミック以前の水準と比べると著しく減少している。
(なお、2020年はパンデミックの影響で世界の航空利用客は激減したため、記事中の伸び率比較は特記がない限り、すべて2019年同月比であることに留意されたい)

国際線回復にほど遠いアジア太平洋地域

2021年6月の国際線のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は2019年6月と比べて80.9%減だったが、4月と比べると6.4ポイント、5月と比べると4.5ポイント改善した。これはアジア太平洋を除く5地域で減少幅が縮まったことによる。

ワクチン接種が進んでいる北米、欧州、中南米、中東、さらに旅行制限が他と比べて緩めのアフリカでは世界平均よりも少ない60〜70%台の減少となっている。一方、ワクチン接種率が比較的低く、国境閉鎖も続いているアジア太平洋地域では94.6%減と、11カ月連続で厳しい減少が続いている。

国内線好調が続くロシア、回復遅れる日本やインド

国内線のRPKの世界平均は、パンデミック前と比較すると22.4%減で、3月以降改善傾向にある。国別では今年1月以降、パンデミック以前の水準に回復しているロシアが6月は33.0%増という目覚ましい増加を見せているのが目立つ。また、アメリカ、ブラジルでも改善傾向にある。特にアメリカはパンデミック前の85%までに回復してきた。一方で先月まで2019年同月比プラスだった中国は感染の再拡大により、6月は一転マイナスに転じた。オーストラリアも感染再拡大で減少傾向にある。

日本の国内線RPKは3~4月は改善傾向にあったが、5~6月は2019年比で約68%減となり、インドに次いで回復が遅れている。オリンピックで7月の入国者の増加が予想される日本だが、無観客開催となったこともあり大規模イベントにつきものの航空需要の飛躍的回復は望めない。

IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、「主要な国内線の動きを見ると回復傾向にあることがわかる。ただ、国際線については回復には程遠い。6月は旅行のピークシーズンの始まりであるにも関わらず、2019年のわずか2割しか旅客を運んでいない。これでは回復とは言えないだろう。政府の不作為がもたらす危機が継続している」と話した。