医療機関8割で外国人患者受け入れ経験あり
2017.08.28
厚生労働省は2016年10月20日から12月12日に初めて実施した外国人患者の受け入れ実態調査を発表した。
計3761カ所の医療機関と、自治体、医療通訳サービス業者などを対象に調査を実施したもので、回答を寄せた1710カ所の医療機関のうち、2015年度に在日外国人や外国人旅行者を患者として受け入れた医療機関は79.7%(1363カ所)、入院患者として扱った医療機関も58.5%(1001カ所)に上った。
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医療通訳を利用した経験がある医療機関は12.7%で、そのうち85.3%が利用して「概ねよかった」と回答。その理由として、「職員の負担の軽減、時間の 削減が図られた」「トラブルが未然に防げた」などを挙げている。
日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者を 受け入れたのは65.3%で、そのうち「英語」で対応した医療機関が56.8%で最も割合が高い。 次いで中国語(26.6%)、日本語(26.0%)、韓国語・朝鮮語(6.4%)、ポルトガル語(5.6%)だった。
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自治体の調査では、外国人患者受入れ可能な医療機関の数や医療設備面に「不足はない」と考えている自治体は1.6%、「拡充が必要」と考えているのは14.4%で、「把握していない」自治体が83.0%もあったのは今後の課題と言える。
また、北海道管区行政評価局が発表した「北海道における外国人観光客の受入環境 に関する実態調査」によると、札幌市と外国人患者受入れに関する協定を結んでいる札幌東徳洲会病院では、2013年〜2016年10月までに受診した外国人観光客925名のうち、旅行保険に加入していたのはわずかに49人で、9割が旅行保険などに未加入だった。
こうした状況では、医療機関にとって未払いのリスクが高くなる。外国人の受け入れ態勢を整えると同時に、外国人観光客の旅行保険の加入促進に向けて、外国人観光客及び旅行業者等に対し、旅行保険の周知を図ることが重要となってくる。
(やまとごころ編集部)