インバウンド特集レポート

2016.01.07

増加する免税店、進化する免税システム ショッピング人気を支える環境に変化が②

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免税店対応で膨らむ人件費をおさえる

次に紹介するのが「Snプロパティーマネジメント」という会社。そのユニークな取り組みでビジネスモデル特許を取得済みだ。

もともとは、商業施設の売り上げ管理をサポートする会社だ。
同社がインバウンドに参入したのは、2013年のまさに年間訪日外客数が1,000万人を超えた時期。現場にヒアリングをかけ、新しい仕組みづくりを検討した。そこで運営とデータ活用が重要であると導き出され、目指したのは、免税カウンターをもっと簡単にできないかという発想だ。

すでに他社では、手書きが自動になるというものはあるが、商業施設ならではの課題としては、2つあった。

免税カウンターでのレシートの集計、そして返金のための出金業務だ。

多くの外国人が利用する商業施設では、免税カウンターに数人もスタッフを置くことになる。そのための人件費もかかる。
一方、こちらの仕組みでは、その半分の人件費でできてしまうのだ。レシートはシステムによって事前に集計され、返金に関しては専用ATMを活用して無人化できる。

なぜこのようなことができるのか。

各店舗にパスポートリーダー内蔵の免税登録用端末を置き、店舗スタッフは、上陸年月日等を確認して、そこで購買したデータをサーバーにアップする。

買い回りの最後は、免税一括カウンターに立ち寄り、パスポートをカウンターのパソコンで再度読み込むだけでこれまでの購買履歴がサーバーからダウンロードされ、すぐに計算された伝票が出る。そして、登録した専用のカードを渡し、脇にある無人ATMで免税返金額を自分で出金する。

設備投資が大がかりになるので、来店数の多い大型施設に向いている。
例えば、テナントが50店舗あるとすると、各店に端末が必要になり、さらに返金ATMとの合計で概算1000万円ほどかかる。しかし、カウンターで一人の人件費が月額100万円とするならば4人体制で、月額400万円となる。その人数が半分になれば、1か月200万円の削減で、1000万円が5カ月で回収が可能になる。

あと、悪意ある返品の対策にもなるという。
具体的には、免税ですでに返金を終えた方が、返品のため直接店舗に向かうと、接客スタッフは、レシートの通り税金分まで返金してしまう怖れがある。各店舗と免税カウンター間でのシステム上の照合が難しいためだ。
しかしこのシステムならば、サーバーに各顧客が免税手続のどの段階かの情報があるため、すぐに確認ができて、返金が重複してしまうリスクを防げる。

またマーチャンダイジングにデータにもいかせる。国別、年齢別、ショップ別、男女別、時間別など、いろいろな角度から分析が可能だ。

ノウハウを持つ外資系のシステム会社が先行する

そして次に紹介するのが、海外での実績がある「グローバルブルー」だ。
スエーデンで35年前にサービスが始まり、免税システムを43カ国で提供している。日本法人は2011年8月に設立された。
免税制度は、国によって違い、グローバルブルーは、各国ごとに柔軟に対応して、そのノウハウを積み上げてきた。
今後、税率が8%から10%に移行した際の対応。さらに軽減税率も導入される可能性があるが、すでにノウハウを他国で培っているという。

またグローバルブルーは、マーケティングツールとしてのネットワークを持っている。グローバルブルーカードを持った会員が世界に80万人いる。これは、パスポートを持っていなくてもグローバルブルーの加盟店なら、カードの提示だけで免税手続きが可能になる。
日本では発行および利用はできないが、ヨーロッパなどでは利用されている。
国別、年齢別、男女別など属性を絞ることもでき、お知らせしたいターゲットをセグメントして、メールマガジンで案内が可能なのだ。
この秋プロモーションのために、お得情報を送った大手百貨店がある。反応も上々だったと担当者。

さらなる制度変更が待っている

さて、免税店の伸び率は、都市部から地方に軸足が移っている。
そのための方針として、2016年度にさらなる免税制度の拡充がある。

政府は昨年の12月に、免税制度を2016年度中に拡充する方針を固めた。
家電製品や宝飾品、工芸・民芸品などの一般物品について免税対象になる販売合計額を1人につき同一店舗で1日当たり「10,000円超」から「5,000円以上」に引き下げるというもの。

それは、少額の買い物が多い地方の免税店の活性化を狙うのが目的だ。

地方では訪日外国人に民芸品や伝統工芸品がよく売れているが、単価は2,000~3,000円程度と少額な販売が多い。そこで、最低購入金額を引き下げることで、訪日外国人の買い物の促進を図る。

免税店の数が約2万9,000店舗といっても、地方の免税店だと、登録したものの、実際にあまり稼働しないケースが多いと、免税システムの普及に取り組む会社の担当者。
それは、外国人の買い物需要がそれほどないからだ。ペーパードライバーになっている。

この政府のテコ入れ策が功を奏するのか期待したい。

2016年度の免税制度改正には、さらに加えて、免税手続きの電子情報化など、手続きの簡素化と利用者の利便性向上に向けた要望も行ったが、これについては引き続き継続して検討する方針を固めた。

現行の手続きでは、免税対象物品を販売する際、購入記録票を作成し、パスポートに貼付する必要がある。しかし、大量に免税対象物品を購入する旅行者が増えたことで、旅行者からパスポートが大量の購入記録票で分厚くなるという苦情が挙がっているほか、税関で購入記録票を回収・整理する作業の負担が増大しているという。

とはいっても、地方の需要が少ないままだと、絵に描いた餅になりかねない。それは、従来の手書きの書類で十分だからだ。こうした状況を踏まえ、現行の手続きとの並行利用も検討していくようだ。

いずれにしても、地方でのショッピングが増えていかないことには、次のステージには進めないことは確かだ。今後の対策の効果を見守っていきたい。

Text:此松武彦

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