インバウンド特集レポート

2015.08.26

躍進するOTA(オンライン・トラベル・エージェント)と「旅館」の相性は?②

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OTAからの予約を増やすコツがある

ところで、掲載をしたからといって、すぐに予約が入るわけではないと勝瀬氏。ポイントをいくつか披露してもらった。

「重要なのは、掲載する写真です。
言葉で文字を書いても、ユーザーになかなか読んでもらえません。データによると、1ページの滞在時間の平均が、0.5秒です。まさに一瞬です。ですから直感に訴える写真が重要なのです。
新規の場合は、まず見て知ってもらうことが先決です。その際に写真でその旅館のイメージを伝えるかにかかっています。」

「次に重要なのは、価格設定の統一です。
自社サイト、他社のOTAなどで、もし値段が違いますと、ユーザー心理としては、安いのを探します。検索の際に他に目移りして機会を損失することも珍しくありません。
例えばアップル製品ならどこで買っても同じ値段となっていて、ユーザーはどこで購入するか迷うことはありません。webで重要なのは価格の整合性なのです。
価格については、シンプルにすべきで、初めて日本に来る人にはわからないことが多いのです。つまりプランがたくさんあることは、かえって混乱するでしょう。
食事、一部屋に何人泊まれるかなど、はっきり透明性のある価格設定が大事です。」

「3つめは、できるだけ先の予約を受け入れることです。
欧米からは2〜3週間の旅行をする方が多く、予約するという行為は、半年から9ヶ月前にします。日本人は直前予約が多いですが。
つまり先の料金設定の掲載がないと、予約ができないのですね。
初期段階では、バンコクと東京を比較するなど、場所がまだ決まっていない場合が多くあります。せいぜい、アジアのどこか程度で。
その段階で、もし日本の予約受付がなければ、ビジネスチャンスを失ってしまうでしょう。
日本人は1年前から予約することは珍しいですが、欧米のお客さんは当たり前のことです。
海外のお客さんに合わせて値段出しをすることが重要です。」

エクスペディアは旅館をカテゴリーとして打ち出す

さて、もう一つのOTAの代表格といえば、エクスペディア(Expedia)だ。こちらは、ホテルのほか、航空券、パッケージツアー、レンタカーなど、総合力が強みといえる。マイクロソフトの旅行部門から発展したという経緯があり、ITの強みを生かしている。

現在は30ヵ国以上に販売拠点を持ち、利用者は北米、欧州、アジアなど全世界に広がり、さらにバックパッカーから高所得者まで幅広い層を獲得している。2005年に日本法人を設立して以来、ここ数年で日本市場の売り上げが急成長している。

日本の宿泊施設へのニーズは、ここ1、2年で伸びているとエクスペディアの日本・ミクロネシア地区統括本部長の明石匡史氏。
「シェア別ですと、1位が香港、2位が韓国、3位がアメリカ、4位が台湾、5位がオーストラリアの順番になっています。」

アコモデーションタイプに「RYOKANリョカン」というカテゴリーを2年前に設けたそうだ。やはり旅館に対して理解が深まりつつあることを感じるという。

ニーズは幅が広く、ラグジュアリーなタイプからリーズナブルなタイプまで、どこかに偏るということもない。

以前、キャンペーンページで、カプセルホテルを特集したところ、それ以降、認知度があがり、今では定番の人気施設になっている。
今度は、香港向けのキャンペーンとして旅館特集を組みたいという現地のスタッフからオファーがあった。旅館について知ってもらうには良い機会となるとキャンペーンに期待を寄せる。

外国人は、シンプルな設定を好み、素泊まりプランを旅館サイドに検討してもらうようすすめている。
「外国人は連泊するケースが多いです。1泊目は旅館体験の一部としての懐石料理を、2泊目は近隣の街に繰り出し外食したいというニーズがあります。」

実際、旅館には、いろいろなプランもあり、星のランクではわからない部分も多い。説明しきれない部分については、口コミを参考にしてもらっていると明石氏。

「口コミで、隣の宿と10万円違うのは、どういう理由なのかをユーザーは理解しています。
ある京都の旅館では、51人のコメントがあり、ほとんどがおすすめのコメントで、中には細かいコメントで説明している方も。
一方、悪いコメントは改善点の材料になり、今後につながると、旅館さんは前向きにとらえてもらっていて、改善提案をしています。」

地域と連携したOTA活用が効果的だ

OTAの取り組み方としては、地元の自治体や観光協会との連携が大切だと明石氏。
「すでに知名度の高い京都や飛騨高山でしたら、エリアから検索されますが、そうではない地域は、まずは地域名を売ることが先決でしょう。」

「例えば、沖縄県ではインバウンドに力を入れようとしていたタイミングに、我々とキャンペーンを仕掛けたところ、一気に地域ブランディングに成功しました。町としてウェルカムという姿勢がアピールポイントになるのです。」
以後、沖縄は人気エリアになり、今後、支店を置くことも視野にいれているようだ。

このように観光協会やコンベンションビューローとの連携も効果を生み、さらに同業他社との情報交換も可能になる。
単純にOTAに掲載すれば効果が出るのではなく、前段階の取り組みも忘れてはならない。

登録に慎重過ぎる施設について、共通の不安に思っている点があると明石氏。
1つは、言語の問題だ。
しかし、外国人旅行者は、地方の旅館で完璧な英語の対応を期待していない。
もちろん基本的な受け答えは必要だ。あとは食事のアレルギーの問題や近くの観光スポットなどの情報提供ができれば十分。まずはカタコトながら使ってみる。2年後にはかなりしゃべれるようになったという話も聞くそうだ。スタッフも使わないと語学が身に付かないのだろう。
取り組みの結果、7割が外国人旅行者という施設もあるとか。

もう一つの懸念されることは、部屋数が少ないことだと明石氏。
オーバーブッキングへの心配から登録が及び腰になっている。しかし、部屋の在庫管理ツールを使う施設も増え、このあたりは解消しつつある。

(Part 3へ続く)

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