インバウンド特集レポート

2014.10.29

インバウンドの展示会・商談会に異変あり! 2014年は世界最大級の旅行の祭典が東京に出現  台湾の展示会は過熱気味に!②

印刷用ページを表示する


トラベルマート、海外からのバイヤーが増加

ところで、今回のトラベルマートでは、海外からのバイヤーが、増えていた。

観光庁のトラベルマートを担当されている日本ブランド発信・外客誘致担当参事官付の佐久間真一氏によると、海外から招請した旅行会社(バイヤー)は昨年の実績294社に対して、今年は358社の事前参加登録があり、実績では347社の参加があったそうだ。
「“ジャパン・トラベル・ウィーク”として国連世界観光機関(UNWTO)と提携した世界で3番目の国際観光イベントの誕生を世界に発信したことで、昨年に比べバイヤーの参加が増えたました」と佐久間氏。

海外バイヤーの参加に当たっては、観光庁とともに主催者である日本政府観光局(JNTO)の14の海外事務所を通じ、訪日旅行商品の造成で実績のある旅行会社を中心に、今後の訪日旅行への取組み方針や意欲等について確認したうえで旅行会社を選定し、訪日旅行商品造成の責任者・担当者に参加を呼びかけ、招請した。

新たな市場からもバイヤーの参加を得たこと等により、新たなビジネス・チャンスと捉え、バイヤー、セラー双方とも積極的にアポイント商談に臨んだそうだ。
観光庁ではVISIT JAPANトラベルマート(VJTM)の運営経費として、3日間のインバウンド商談会や最大5日間のファムトリップ等に対し、約9,900万円を計上した。

今年はスタートの年である。新規のサプライヤーが増えたことは、成功といえるだろう。トラベルマートに出展していなかったグリーンツーリズムなど、参加の幅が広がった。

一方でイベント取材を通じて見えてきたものがある。
会期中に、初参加のブースで話を聞くと、商談会で、海外バイヤーから2次交通の問題、価格表、実際に仕入れられるロットなど、より具体的なものを求められたという。ニーズの調査というスタンスで臨んだ出展者にとっては、温度差があったようだ。

また継続的に参加している小さな観光協会では、インバウンドと国内旅行者向けの同時開催が、大きな負担だったとの声もある。むしろ別々の開催のほうが良かったという。
少ないスタッフをいかにやりくりするかに苦心したそうだ。

これまでにトラベルマートでは、商談会だけでなく、夜の懇親会でゆっくりバイヤーとセラーが情報交換する場が設けられていたが、今回は同時開催ということでツーリズムEXPOジャパンの関係者も多数懇親会に参加され、あまりに人が多すぎてほとんどバイヤーと話ができなかったという意見もある。

立て付けは大きくなったものの、現場からの課題もありそうだ。

ツーリズムEXPOジャパンの開催レポートは11月に発行が予定されている。希望に応じて開示してもらえる。
※連絡は、ツーズムEXPOジャパン推進室まで。
http://t-expo.jp

今年、新しくインバウンドの商談会が開催

日本では、さらに今年、初開催のインバウンドの展示会が10月2日、3日に東京ビッグサイトであった。「ジャパン・インバウンド・エキスポ」というタイトルで、「第28回東京ビジネス・サミット2014」との共同開催となった。
東京ビジネス・サミットは、1988年より地域金融機関と共に開催し、地方にあるまだ全国に知られていない良い商品・サービスを広めようと応援している。異業種型展示商談という形で、28年間ビジネスマッチングの場として開催されてきた。
そこに今年からグローバルビジネスゾーンが新設され、「海外進出」と「インバウンド」の2軸でスタートした。

共催として運営するのがJTBコーポレートセールスだ。昨年の7月から開始したラピタ事業で海外進出支援を手がけている。中小企業にとって海外進出は難しく、ラピタという会員組織を設けることによって、弁護士、税理士や各地域や業界の専門家とネットワークをいかしたワンストップサービスを進めている。

グローバルビジネスゾーンを企画してみないかと、東京ビジネス・サミットを企画・運営するインクグロウ株式会社から声がかかった。今年の4月から企画がスタートしたのだが、出展経験のある金融機関にヒアリングすると、インバウンドに関してのニーズが高いことがわかり、インバウンドの要素を強化する方向にした。

そこで、インバウンドに企画協力してもらえる団体として、一般社団法人ジャパン・ショッピング・ツーリズム協会の専務理事の新津研一氏に相談。
開催の日程としては免税枠が拡大される10月1日の翌日なので、タイムリーだと意見もあり、一緒にプロジェクトを進めることに。

ジャパン・インバウンド・エキスポのビジネスモデルは、受け入れ事業者とリソース事業者のマッチングをする場だ。受け入れ環境の整備、プロモーションに役立つソリューションを持っている事業者に出展してもらい、実際に受け入れ事業者と商談してもらう。例えば、翻訳会社がブースを出し、来場の自治体関係者やホテル・商業施設にセールスする。
外国の旅行会社の方が来日して商談するのではない。ジャパン・インバウンド・エキスポを開催にあたり、海外はどんなバイヤーさんが来るのかといったホテルからの問い合わせがあったそうだが・・・。

各セミナーでは立ち見が出るほど好評だった。インバウンドの初心者向きの内容として、特に地域がテーマ。

ブースではインバウンド関係者以外の方々との名刺交換でき、これを機会にインバウンドに関心を持ってもらえそうだと出展の各担当者。裾野を広げる機会になったのは事実だ。

グローバルビジネスゾーンは、目標の50コマを超える54コマとなった。入場者数は1万7,000人を超えて昨年より大幅に上昇した。前年が1万1,440名で、1.5倍の来場者増となった。
単体としてやるより共催でやったことで来場者数を多くすることができたと思う。新規のユーザーからの登録もあった。

出展については8割が満足という回答で、出展企業の一つ、サトーホールディングスは予想以上の反響があったとのアンケートに回答。幅広い商品開発をしていて、新しく導入された免税袋には、「封印用のセキュリティシール(転移タイプ)」がちょうどうってつけ。開封した事や、シールを剥がそうとした事が分かるシールだ。被着体、シールに剥がした痕が残り、二度貼りが防止できる。

せっかくの「ジャパン・インバウンド・エキスポ」というネーミングではあったが、会場内で埋もれていた感が否めない。コーナーを明確にプロモーションできる工夫が必要だったと思えるのだが。

ところで、JTBコーポレートセールスで日本企業海外進出サポート事業を担当している秋庭孝之マネジャーによると、来年については未定とのこと。継続されることを期待したい。

 

アジアの旅行スタイルの変化が速い

シンガポールのNATASは、FITへのニーズの高まりで、ここ最近の入場者数や成約件数は落ち込んでいることは、先ほど述べた。では、どうすれば、個人旅行者へのプロモーションが可能なのか。

展示会・商談会に出展するよりも、商業施設を使ったイベントのほうが効果的という声もある。松本コンベンションビューロは、NATASに出展せずにシンガポール高島屋を利用した個人旅行者向けの訪日イベントに参加した。JNTOがサポートする「ジャパン・トラベルフェア」だ。

毎年NATASに出展していたが、高島屋に舵取りを変えたという。
さらに、「おいしいジャパン」という日本の食をテーマにプロモーションする場が10月18日から開催された。これも個人旅行者には響く内容だ。

アジアではBtoBからBtoCに変ろうとしている市場、まだそうではない市場など、そのあたりを理解して出展しなければならない。

鈴木氏は、海外展示会に初出展する前に、視察をしたうえでターゲットを絞るべきだとアドバイス。
相手の国が、自分たちの何に嗜好しているのか。物産展の場合、地元の声が重要だ。
とにかく事前準備が足りない。例えばまずは視察として展示会を見て回るだけでも大切だという。

展示会・商談会の流れを読み解き、いかに有益に関わっていくべきか、常に情報収集とチェックが必要と言えそうだ。

最新のインバウンド特集レポート

バックナンバー

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年