インバウンド特集レポート

第100回 2018.08.08

忍者は世界のスーパーヒーロー、次々と新しい仕掛けが始まっている!

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外国人が日本をイメージするコンテンツとして、常に上位に位置するのは、侍と並んで忍者である。忍者はベタとも言えるが、世代を超えて根強い人気を誇る。訪日外国人が増えているなか、忍者をテーマにした地域おこしやイベント、レストランや体験プログラムなど、幅広いシーンで忍者が登場するようになった。今回は、忍者の魅力やどこで活動しているのか等、忍者人気の現状をレポートする。(取材・文/此松タケヒコ)

 

忍者募集告知に海外からも応募多数!

つい先日、海外のフェイクニュースに「伊賀で忍者募集」というコメントが掲載されると、海外からメールでの問い合わせがあり、三重県の伊賀市役所や観光協会の担当者は対応に追われる事態となった。世界中で、忍者になりたいというニーズがあるからだろう。

さて一昨年、本当に外国人の忍者が誕生して、メディアを賑わせたことがあった。

それは、愛知県の魅力を国内外にPRするために結成された「徳川家康と服部半蔵忍者隊」に所属しているアメリカ人のことだ。その忍者隊は、既に名古屋城で人気となっていた「おもてなし武将隊」のひとつで、運営を地元の広告会社、三晃社が担っている。メンバーを募集するに当たって雇用形態を常勤とすることになり、国籍を限定しなかった。さらに、県知事の大村秀章氏が忍者に扮した「忍ばないスターな忍者探します」というプレスリリースをフランスの通信社が配信したところ、これを複数の海外メディアが報道した。すると235人の応募があり、その内、海外からの応募が200人にも達したのだ。忍者になれるということで、海外での注目が高かったのだろう。

書類選考とオーディションを経て、メンバーには日本人6人とアメリカ人1人が選ばれ、2016年5月5日、名古屋城での初演舞でその忍者隊が披露されたのだった。

 

忍者人気のルーツはオーストラリア発の「隠密剣士」だった?

「海外での忍者人気は、想像以上に高いようだ。やはり『ナルト』等、アニメの影響が若い世代には強い。さらに熟年層にも忍者人気が浸透している」そう指摘するのは、オーストラリアで結婚し、シドニーに拠点を持つハイランド真理子さんだ。

オーストラリアでの忍者人気は、最近のことではなく、数十年前からブームが起きているそうだ。今の70歳前後の人たちが子供の頃、日本のドラマ『隠密剣士』を見て忍者人気に火が付いた。当時、小学校では忍者遊びで盛り上がり、怪我する子供が続出し、忍者遊びを禁止する学校も珍しくなかったという。

1960年代に放映された『隠密剣士』は、旅をしながら忍者と戦う侍の姿を描いており、オーストラリアで視聴率40%を取るほどのブームになった。主演俳優の大瀬康一がオーストラリアを訪れた際には、空港の出迎えが約5,000人にものぼる歓迎ぶりだった。ファンクラブは今でも存続しており、2000年代になって英語吹き替え版のDVDを販売するほど、その年代層には今でも人気がある。

つまり、海外では幅広い年代層に忍者の魅力が伝わっているということだ。それはオーストラリアに限った話ではなく、アメリカでも忍者に関する書籍がいくつも出されている。このように、忍者を用いたコンテンツは、外国人には受け入れやすいのだろう。

 

赤坂の忍者が跋扈するレストランが外国人に人気!

16年前にオープンした東京・赤坂の「NINJA  AKASAKA」は、外国人客が多いレストランだ。店内に足を踏み入れると、中は洞窟のような雰囲気を漂わせ、忍者の黒装束に身を包んだスタッフが、忍者道という通路を通って個室へと案内してくれる。流れ落ちる滝と橋、さらに照明で血の色に変わる池、立ち込める煙など、赤坂の華やかな街並みとうって変わった空間になっている。

注文のメニューは、巻物になっている等、細部にもこだわっている。さらに、運ばれる料理も摩訶不思議で、刀を引き抜くと煙が出てくる仕掛けとなっており、その名も「ズワイガニとグレープフルーツ水平抜刀霧隠れの術」だ。素材は、カニ足、グレープフルーツのマリネになっている。他にも、手裏剣のように切った野菜など、飽きさせない工夫が盛りだくさんだ。

食事の後半には、別の忍者が登場して、マジックをしてくれる。各個室のゲスト全員のテーブルをまわっていた。お店は2時間から2時間半というディナータイムを設け、通常は2回転するそうだ。予約なしには入店が難しいほど、常に満席状態となっている。

 

忍者は外国人接待に引っ張りだこ

「NINJA  AKASAKA」が開店した16年前は、エンターテイメント系レストランが登場した時代で、料理、サービスでも一流を目指してオープンした。また、ニューヨークに出店するというのが最大の目標であり、このレストランはテストマーケティングの意味合いもあったそうだ。

だから外国人客に利用してもらうことを想定して、出店は赤坂になった。赤坂には外資系企業が多く、ホテルの数も多いので、外国人観光客がやってくる可能性が高い。ホテルニューオータニ、ホテルオークラ、さらに大手町からのアクセスも良く、客単価が高い大人の町だ。

現在では、すっかり人気店となっているが、プロモーションは一切しなかったそうだ。オープンまでの工事の期間、店の前に「NINJA  AKASAKA」とロゴマークの看板を貼っただけだったが、ビジネスマンの通行が多く、近隣の企業に認知されていったと取締役マネージャーの倉持氏は当時を振り返る。オープン後、近隣の外資系の企業に、海外からのゲストの接待で使ってもらえるようになったのが大きかったという。感動したゲストが国に帰り、東京に忍者がいるレストランがあるとSNS等で拡散してくれたのだ。

メニューにおいても外国人客の求めていることを取り入れ、しゃぶしゃぶコース、ベジタリアン向けの肉NGコース、ハラル対応の料理などのメニューを加えていった。

そのような努力を重ね、世界トップクラスの口コミサイトにおいて、日本で行った方がいいレストランのランキングで上位に入るほど評価が高まっていった。

 

忍者に会いに世界のVIPがやって来る!

「NINJA AKASAKA」は、海外からも予約が可能になっているが、予約には、クレジットカードの番号が必要とのこと。客層は幅広く、欧米はもちろん、ハワイ、グアム、さらにアジア、アフリカからもやって来る。また、国際的なクリエーターや国賓クラスなどの世界のVIPも立ち寄り、中には、アメリカからインドネシアに行く途中のトランジットの時間に、わざわざお店に立ち寄った方もいたそうだ。

このように、忍者はエンターテイメントだけではなく、レストラン等、外国人向けに幅広い分野に展開している。

(次号へ続く)

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