インバウンド特集レポート

2019.02.13

台湾ファミリー層誘客に向けた取り組み、高知・物部川流域でスタート。インバウンド対応を通じて地域が一致団結

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2018年7月に発生した豪雨からの復興と中国地方の消費拡大を目指すために始まった「HASHIWATASHIプロジェクト」では、様々なプロジェクトが行われている。今回は、専門家派遣を通じて地域の支援を行うプロデュース支援事業のうち、観光・インバウンドをテーマにした3つのプロジェクトを紹介。1つ目は、高知・物部川地域における訪日ファミリー層誘客プロジェクトの様子を紹介する。

 

豊かな自然とファミリー層に人気のコンテンツを多く持つ物部川エリア

物部川は高知県中部の南国市、香南市、香美市をまたぎ、四万十川や仁淀川と並ぶ一級河川。流域内は山間部から美しい渓谷を経て太平洋に注ぐ起伏に富んだ景観で、稲作や野菜作りも盛んながら、高知龍馬空港や高知市への国道が整備された交通の要でもある。

この地域には、トリップアドバイザーで高い評価を得た高知県立のいち動物公園や、季節のフルーツ狩りが楽しめる西島園芸団地、芸術・文化・技術の総合テーマパークで坂本龍馬の歴史も学べる創造広場「アクトランド」、やなせたかし自身が描いた原画などを通じて「アンパンマン」の世界を体感できる香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアムなど、親子で楽しめる観光コンテンツが豊富に揃っている。

龍馬歴史館1st

2016年に物部川地域の広域観光連携組織として発足した物部川DMO協議会は、地域が持つ特色やデータの分析結果をもとにファミリー層にターゲットに絞り、国内からの観光客を中心に、誘客や施設間の回遊促進を通じた域内の消費アップに取り組んでいた。

そんななか、2018年7月に西日本豪雨が発生。物部川流域は降水量が最も多かった地域の一つで、川の氾濫による浸水被害も多く、7〜8月にかけては主要観光施設への入場者数が前年比77.2%と大きく落ち込んだ。

 

台湾からのファミリー層にターゲットを絞り、インバウンド施策に着手

7~8月は日本では夏休みの最中、ファミリー層を呼び込める最も大切な時期だったため、この期間の観光客の大幅減はエリアに大きな打撃をもたらした。落ち込んだ観光客数の回復だけでなく、年中を通して平準化して訪れてもらいやすい訪日外国人にも対象を広げた。

とはいえ、訪日外国人といってもエリアや世代、ニーズは様々。高知県を訪れる外国人比率トップの台湾に照準を絞り、親子向けコンテンツの豊富さも加味し、「台湾からのファミリー層」にターゲットを定めた。

プロジェクトのプロデューサーには、台湾人のファミリーブロガーで、「東京親子遊」「関西親子遊」などの親子向け旅行ガイドブック発行の実績を持つ王晶盈(オウショウエイ)氏、高知県の台湾市場レップとして、台湾の旅行会社やメディアへの営業活動などを行っている誠亜国際有限公司から黃培華(コウバイカ)氏を招いた。 

▲向かって左は親子ブロガーの王晶盈(オウショウエイ)氏、中央が誠亜国際有限公司の黃培華(コウバイカ)氏

 

親子旅のキーワードは「親も子供も楽しめる」こと

まず、1月初旬に台湾で開催された香川県・高知県合同の商談会へ参加し、市場のニーズを探った。その後、1月下旬には2人のプロデューサーが高知を訪れ地域観光施設の視察を行った。3泊4日の視察では、高知県の歴史や文化を学べる観光施設や、国内ファミリー層に人気の観光スポットを訪れただけでなく、ガラス細工やキャンドル作りなど体験型のコンテンツも盛り込まれた。

物部川地域にある17の施設を訪れ、施設見学やアクティビティを体験した王氏は「親子旅に大切なことは、親も子供もどちらも楽しめる要素があるかどうか」と話す。大人と子供で感じる魅力は異なるので、刺さるコンテンツは違うかもしれないが、同じ場所で両方が楽しめる場所であることが、旅先に求める条件になる。その観点から、最も評価が高かったのが龍河洞だ。洞窟内は道が整備されており「子ども連れでも安心して歩くことができる。5歳の息子も探検気分で楽しんでいた。台湾にはない洞窟で親子揃って楽しめる」。このほか、西島園芸団地でのいちご狩りも、定番コンテンツだが、親子両方楽しめるということもあり、高評価だった。

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子供の年齢にあわせた観光の魅力発信が大切

一方で、新たに見つかった課題もある。その一つは、子供の年齢にあわせた観光コンテンツを出すこと。

今回の旅は、5歳の男の子と母親という組み合わせだったが、「5歳の男の子には難しい施設や、レベルが高い体験コンテンツもあった」と王氏は話す。ファミリー層といっても、子供が幼児なのか、小学生なのか、年齢を考慮した遊びの要素を創り出していく必要性を痛感するエピソードだ。

 

地域が連携しておもてなしを実践、団結力アップ

今回、外国人の視察を受け入れた物部川DMO協議会事務局長の岡林氏によると「視察の前には観光協会や施設関係者が、おもてなしの心をどう形にするのかを話し合い、協力し準備をしてきました。決して万全だったとは言えませんが、これを機に、これまで以上に物部川エリアの観光事業者の団結力が高まっていくとの期待も大きな成果の一つと感じています」と言う。

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▲龍河洞ではクレジットカード対応済だが、他の観光施設への普及はこれから

まあ、物部川エリアの課題については「キャッシュレス決済が未対応の施設がまだまだ多い。インバウンド客をはじめとした観光客受け入れに、クレジットカード導入などキャッシュレス対応を進めるのも急務」とのこと。

今後は、視察を通じた得た意見を反映させて、日本人向けに作ったエリアパンフレットを台湾人目線で再編集し、ターゲットに向けた繁体字パンフレットを作成。台湾レップを通して現地旅行会社への営業を行い、物部川の観光コンテンツを含む旅行商品を販売していく。

※次回は、岡山・兵庫で始まったゴルフツーリズムによるインバウンド促進プロジェクトの様子を紹介します(2/21公開予定) 

 

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